青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~未来を生きる君たちへ~

ネタばれ注意!

少し遅くなったが『未来を生きる君たちへ』という作品について述べたい。
先に述べておくが、あまりに前のことなのでうまく話がまとまらず(私の力不足が大きいが)、散文になってしまった。
伝わらないことが大いにあると思うが、ご了承願いたい。

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この作品は『ある愛の風景』、『悲しみが乾くまで』のスサンネ・ビア監督(デンマーク)の最新作である。
と述べてはいるが、初めて聞く作品と監督であった。私は、北欧の作品はあまり見たことがない。
観るきっかけとなったのは朝日新聞の夕刊に記載されていたから。たまたま広告を発見し、本年度のアカデミー、グローブ賞W受賞ということで興味が湧いたのは事実だが、それ以上にタイトルに惹かれた。
親として、大人として未来を築いていく子どもたちに何を教えることができるのだろうか、何を残してあげられるのだろうか。そんなことを震災後ずっと考えていた私にとってこのタイトルは直感で観ておきたいと思えるものだった。公開初日の早朝に足を運び、初回を見ることができた。
映画が終わった瞬間、朝からわざわざ渋谷まで出向いて良かったと思えた。
それ程感動していた。
テーマが普遍、複雑、難解なため様々な見方ができる映画だが、素直に観たままをありのままに感じ取ることが一番いいだろう。
映画通な人も、そうでない人も是非一度観てほしい作品である。

デンマークのある2組の家族がメインの話である。家族にはそれぞれ問題がある。離婚の方向で話を進めている家庭、母親が癌で死に、父と子で祖母の家で暮らし始めた家庭。それぞれの家庭の子どもたちはどこかしら心に穴が空いている。
そして社会は矛盾で満ち溢れている。様々な考えを持つ人間の集合体であればそれは仕方のないことである。大人は葛藤しながらも割り切り、避けることができる。しかし、子どもたちはその矛盾に戸惑い、失望する。世の中ってこんなもんかと。
矛盾に耐えられなくなった子どもたちは暴力・復讐に走りだす。
目には目を。やられたらやり返す。相手をひれ伏させる。それは誰しもが持つ感情だと思う。しかし、それは動物の本能から抜け出せれない人間の恥ずべき感情である。人間が他の動物と違うところは感情をコントロールできる理性を持っている点である。それなのに暴力を正義と置き換えて正当化する(特に大人は)。改めて正義という言葉の脆弱さを感じる。相手を悪だと言って自分の正義を相手に振りかざす者は偽善者である(また別枠で述べたい)。
では暴力に対する対応をいかにすれば良いのであろうか。復讐・暴力がだめなことなら、赦し、赦されることが正しいのだろうか。
先にも言ったが暴力・復讐といった感情は誰にでもある。もし、自分の大切な人が傷つけられても、加害者に暴力を振るわず平然と赦せるかと言ったら私にはできない。殺したいほど憎むであろうし、法律がなかったら復讐するかもしれない。
しかし、ふと考える。復讐心から憎んでいるとはいえ、相手を傷つけたいと思っている自分の顔を。きっと加害者と同じ汚らわしい顔つきになっているにちがいない。そんな顔で加害者に復讐したところで大切な人がうかばれるのか。そもそも、復讐したところで起こってしまった結果を変わることはできないのだ。
暴力で悩み、苦しむことは本当に辛いことである。そこから逃げ、一時の感情で復讐することは楽だろう。しかし、自分の手を、心を汚すことであり、本当の解決にはならない。
その苦しみや悩みに耐え、乗り越えることで救われることもあると信じたい。赦しが正しいかどうかというより、何が起こっても、それでも生き続けていくのだと思うことが人間の強さではないだろうか。

これから先の未来に何が待ち受けているのかはわからない。その中で何が起こっても生き続ける強さ。それは人間の選択・決断する力にあると思う。
「ヒーローショー」という井筒監督の作品をご存じだろうか。若手芸人のジャルジャルが主演を務めている。
このストーリーも暴力が復讐という暴力を生む点で似ているのだが、誰も復讐に疑問を抱く者が出ず、最終的には取り返しのつかないところまで来てしまったという救いようのなさに何とも言えない後味の悪さを覚えた。

この作品の良さは、主人公を通し暴力に対し暴力で返していいのかという葛藤を観客に想起させたこと。そして、その後の決断と、その決断を受け入れる周囲の人々を最後に見せたことにある。だから話の終盤に救いを感じさせられた。
下した決断の正しかった結果として希望が生まれたではなく、決断することで主人公たちが前進していく姿に私は一縷の希望を見出し、胸打たれたのだ。
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by komei115 | 2011-11-30 01:54 | Movie