青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~TESE(`ε´)ノ~ 友に贈る返事に代えて

ネタばれ注意!

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遅くなってごめんなさい。本当は24日のクリスマスイヴに観るはずだった。そして、鄭大世(チョン・テセ)と握手を交わし、パンフにサインをいただくはず・・・だった。
当日、少し早かったかなと思いつつ渋谷アップリンクに到着してみると、人混みが。「あれ?」と少し不安になりながらもチケットを求めてカウンターに行くとすでに完売とのこと。女性スタッフが厭味ったらしい半笑いの表情を浮かべながら私を見てそう告げた。
ガーン。
わざわざ、いちゃつくカップルで溢れ返る渋谷の人混みの中を縫って辿り着いたというのに全てが無駄足に終わった。
「ここは普通の椅子並べてあるだけなんだから一席くらい作れるだろ!最悪立ち見でも構わんぞ!」と言う度胸もなく、うなだれる。結局、何もすることがないのでそのまま駅に向かう。頭の中は真っ白だった。こんな日に、こんな屈辱を受けるなんて。泣きながら家路を歩いた。
そして26日の今日。やっとの思いで観てきた。リベンジを果たしたのだ。サインはもらえなかったけど、パンフレットを買ってしまった。パンフを買うなんて二人で寺島しのぶにサインしてもらった「キャタピラー」以来である。それまであまり鄭大世のことは知らなかったが、一気に彼のファンになった。これからは応援していきたい(ミーハーと呼んでもらって結構)。

2006年から4年半川崎フロンターレでFWとして活躍し、ドイツ・ブンデスリーガのVfLボーフムへの移籍も果たした在日コリアン3世のプロサッカー選手・鄭大世の軌跡と苦悩を追った姜成明監督によるドキュメンタリー映画である。日本に生まれ、国籍は韓国、代表チームは北朝鮮という複雑な境遇。なぜ鄭大世は複雑に、孤独になることを解っていて日本代表でなく北朝鮮代表を選んだのか、その答えをこの映画で探っていく。
鄭大世の素顔を、世界6か国、およそ3年にわたって活写し、切り取った映像の数々はどれもがダイレクトに胸に響くものがあった。サッカー選手としての成長・飛躍を目指す一方、「自分のホームはどこか?」と歴史的背景に翻弄(ほんろう)されてきた一人の在日コリアンとしての彼の姿に胸をしめつけられる。それらをまるでPVのように上手くストーリーとして編集し、また鄭大世の愛らしい人間性、感情の移り変わりなどを映像に収めることができた監督の手腕は大きく、光るものがある。最後の川崎フロンターレのサポーターとのシーンはとても感動的である。大変良作の映画であった。この映像はもっと広く全国に公開していくべきだ。大人だけでなく、サッカー好きな子どもたちにも観てもらいたい。

私も、この映画に対し、懸命にレスポンスしなければと思い、考えてきた。
在日問題。その歴史は1910年の日韓併合に遡る。それ以前も移住する朝鮮人はいたようだが、日韓併合後を境に爆発的に日本への移住者が増えた。彼らが望んできたのか、強制的に徴用として連れてこられたのかも未だに議論が分かれており、詳しい内容や数は私には分からない。しかし、日本軍に拉致され、軍隊の補充要員になって戦地の前線に駆り出されたり、従軍慰安婦として働かされたりした朝鮮人たちがいたことは事実である。おぞましい負の歴史。決して忘れてはならない。
戦争が終わると、帰国する朝鮮人も多くいたが、その後の朝鮮戦争で帰るに帰れなくなった人たちが出てきた。そのまま、南北が北朝鮮(ロシア)と大韓民国(アメリカ)に分断され、そのまま日本での生活を余儀なくされた人たちが現在約60万人いる。したがって、父親が韓国籍、母親が朝鮮籍などのケースも珍しくないし、日本人と結婚して新たな家庭を築いた人たちも少なくない。彼らはプライドを汚され、言葉を失い、それでも懸命に同胞たちとともにコミュニティーを作って生きてきた。日本人はそれを部落として差別し追いやり続けてきた。悲しい歴史である。この頃の背景は井筒監督の映画「パッチギ!」と「パッチギ!2」でよく描かれているので是非見ていただきたい。

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ちなみに、この2作品とも私が大好きな映画の一つである。
在日コリアン1世、2世である彼らは、日本の地で生きながらも祖国に対しての気持ちは大きく、愛国心が強かった。しかし、時代は移り変わり、今では3世が主体となり、なんと6世までいる。そんな彼らを取り巻く環境も変わってきた。昔は子どもを朝鮮学校に入れるのが主体だったが、今では日本学校に入れる親もいて、日本人として生きる人たちも増えた。鄭大世や安英学(アン・ヨンハ)みたいな祖国でプレーすることを選ぶ選手もいれば、李(リ)忠成のように帰化し、日本代表を選ぶ選手も出てきた。
生きるうえでの選択肢が増えたことは非常に良いことだが、それでも彼らは未だに続くレッテルや差別に苦しめられている。日本人にも、韓国人にも、朝鮮人にもなりきれない人々。「自分たちのホームはどこなのか」と嘆く彼らの気持ちは自分には決してわからないけど理解したい。私たち日本人には彼らを理解する努力をし、考え続ける責任がある。決して「わからない」「関わりたくない」という言葉で済ませてはならない。
国籍も、人種も、信条も、血も、今のご時世もう関係ないではないか。それなのに北朝鮮が何か危険な行為に及ぶと彼ら在日コリアンまで非難するのはどうかと思う。「なぜ、日本にいてまで北朝鮮を庇護するのか」と軽蔑する連中や、「北朝鮮も在日も滅びろ」とネット上で罵る不逞の輩もいるが、もし、自分の親が悪さをしたとして、だから親を見捨てられるかといったらできないだろう。
最近、大阪市長に決まった独裁者橋本徹も彼ら在日コリアンにひどい仕打ちをしている。朝鮮学校の教育補助金を大幅にカットしたり、「金正日の肖像を外さないと無償化認めない」などとの発言を平気でしている。子どもの教育という大事なことに関してよくそんな教育や信条の自由を奪うような発言ができたものだ。それも法律上正当なものとして主張しているのだから、法律の懐の狭さというか、そんな事を感じてならない。一人の人として彼らと向き合い、受け止めるべきだ。

以上、詳しいことも知らないくせに自分勝手にグダグダと話長く述べてきた。伝わらないこと、誤解されることも多いだろう。気を悪くした人は申し訳ない。至らないところは指摘して頂けたら嬉しい。
最後に一つだけ、この映画を通して生まれた自分の飾っていない純粋な気持ちを述べたい。
彼らが悩み、苦しみ抜いた末にとった選択全てを私は受け止め、尊重したい。そして、これからも一人のサッカーファン、スポーツファンとして、国籍や人種も関係なく、ただ彼らの巧みなプレーに魅了されたいし、その一生懸命な姿に励まされ、応援を送りたい。反則的な行為は認められなくても、国柄、人柄でブーイングだけは決してしたくない。それが、スポーツを愛する者としての紳士的な振る舞いだと信じている。

この作品を今年最後の映画にしようと思う。
大変良かった。出会わせてくれてありがとう。
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by komei115 | 2011-12-26 22:20 | Movie