青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~二十四の瞳~

ネタばれ注意

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30年の歳月を経、二十四と二の瞳からはどれほどの涙がこぼれ堕ちたことだろうか。何度見ても胸打たれる師と子の絆の物語。




壺井栄の同名小説を叙情派の木下恵介が1954年に脚色・監督した日本映画の名作中の名作。1987年には田中裕子主演でもリメイクされた。

あらすじ
昭和3年、新任教師の大石久子は瀬戸内海にある小豆島の分校に赴任することになる。久子が受け持つことになった生徒は一年生の十二人。みな無垢であどけなく、澄んだ瞳をしていた。生徒たちと心が通ったのもつかの間、久子は本校へ転任することになる。生徒達みなが将来の夢を叶えられるように願っていたが、貧しい村の子たちは、一人として望み通り進学することができなかった。戦争をはさんで島の分校に戻った久子は、そこでかつての教え子たちと再会する。

戦前から戦後までの30年間を通して女教師と12人の生徒たちの交流を感動的に描いている。そして、それを取り巻く小豆島の素晴らしい自然や人々の様子があまつなく描かれ、今では見られない貴重な民族資料的な映画に仕上がっている。
主役の高峰秀子が圧倒的で、その慈愛のこもった表情と演技は彼女の実際の人間性の発露であろうと思われる程だ。彼女はこの映画で、19歳から49歳までを見事に演じ分けている。
また、現地の子供たちの中から選ばれたという児童役の12人も秀逸だ。誰もが純粋素朴、眼が輝いている。まさに、“二十四の瞳”を感じさせる。
そして、ここからが不思議なのだが、高学年になった彼らが、一年生の顔そのままで大きくなったように思える程、人選されている。更に、もう一段階、年齢の更新があるが、これまたそっくり。最終的に大人になった月丘夢路や、田村高廣に至ってもさもありなんという感じである。「これは6~10年越しの撮影だったのでは?」と思わせるほど。監督になる者の重要な素質として「人選」が挙げられるが、木下監督の人選力は神業に近い。
また、画中で、子供たちが歌う様々な唱歌が郷愁を誘う。「仰げば尊し」「七つの子」「故郷」「冬の星座」「浜辺の歌」「埴生の宿」「おぼろ月夜」「庭の千草」「蛍の光」などが効果的に挿入されており、心に沁みる。
反戦思想を持った者を「アカ」と呼ぶ。大石先生は生徒を戦争に行かせたくない気持ちで「軍人よりも商人の方がいいわ」というだけで「アカ」の疑いをかけられた。何とも凄まじい時代である。戦時中の人は誰しも想像を絶する苦労に死んだり、耐えて生き延びて私たち子孫を残し、時代を築いてきたのかと思うと頭が上がらない。
この年(昭和29年)の映画界は、どれも大作揃いで、本作の他に、同監督の「女の園」、黒澤明の「七人の侍」、溝口の「近松物語」「山椒太夫」、本田猪四郎の「ゴジラ」が名を連ねていた。その中で、「七人の侍」を抑え、「二十四の瞳」がキネマ旬報ベストワンに輝いたのだからどれほどこの作品が人に影響を与えたのかが窺えることができる。
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by komei115 | 2012-02-16 14:30 | Movie