青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~ WAR DANCE ウォー・ダンス 響け僕らの鼓動 ~

ネタばれ注意!

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音楽が、歌が、踊りがあり続ける限り、僕たちはいつでも心で繋がれるし、どんな時でも希望を失うことはない。



反政府武装組織による虐殺が相次ぐ、アフリカのウガンダ。特に北部はいつ殺されてもおかしくない悲惨な状況だ。そこに住む子どもたちが、家を、家族を奪われながらも逆境に負けずに全国ダンス大会に挑む姿を追ったドキュメンタリー。仲間と一緒に音楽を奏で、歌い、伝統舞踊を通して笑顔と希望を取り戻していく過程が克明に映されており、2007年度サンダンス映画祭ではドキュメンタリー部門監督賞を受賞している。

あらすじ
2003年以降、ウガンダ、特に北部では反政府武装組織の活動が激化の一途を辿り、襲撃、強奪、レイプ、誘拐、虐殺が頻発して繰り返されていた。命からがら生き延びた人々がたどり着いたパトンゴ難民キャンプでは、狭い敷地の中で6万人以上が犇いて生活していたが、キャンプ内にある学校の教師と子どもたちは、年に一度行なわれる全国音楽大会への出場を目指して歌と演奏、そしてダンスの練習を始める・・・。


残酷で身の毛のよだつ思い出話。それを小学校高学年くらいの子ども達が淡々と話す光景は余りにもショッキングだった。
「両親が目の前でバラバラに殺された」
「僕は銃声を聞いて育った」
「反政府軍の連中に捕まり、殺人を強要され、人を殺してしまった。泣いたら自分が殺されるので泣かなかった」
「常に怯え、常に隠れて生きてきた」
「母が指示で父の首を切り落とした。母はその後どこに行ったのか、生きているのかわからない」

反政府軍は滅びない。教育システムが確立されているからだ。子どもを多く捕まえた者には地位と権利が与えられる。したがって子ども達が多く拉致される。
子ども達には武器が与えられ、力を与えられる。初めは嫌がる子が大半だが、目隠しをして銃を発射させて、拉致した大人を殺させる。薬物漬けにして快感を与える。ゲーム感覚で人を殺すことを覚えさせ、それが楽しいことだと錯覚させる。
そうやって次世代の殺戮マシーンが誕生していくのだ。

ウガンダ北部を移動する時、常に車を飛ばす。そうしないと標的にされてしまう。それに政府軍の兵士を同行させないと危ない。常に死と隣り合わせ。それ程危険な国。
ここでしか生きる選択肢がない子ども達はどんな気持ちなのだろうか。余りにかけ離れていて想像することができない。
「私も死にたい。どうして神は私も殺してくれなかったの?」
大会前に母と四年ぶりに父の眠る場所に行き、少女の泣き崩れる姿がいつまでも心に響いた。
自分がもし子ども達の立場だったら自殺するか、反政府軍に媚び諂って殺戮マシーンになるかのどっちかなんじゃないだろうか。
親を失い、想像を絶するトラウマを抱えても生きる少年少女の姿に心が震えた。

そして先生の言葉が響く。
「アチョリ族の誇りを忘れるな。君たちは親を失ったが、全てを失ったわけではない。まだ希望はあるんだ。ダンスで1番に、チャンピオンになるチャンスが、希望があるんだ」
温ぬくとした環境で観る当事者じゃない者だからこそ響く言葉かもしれない。無責任だが、無責任なりに子ども達が立ち直って希望を見出して欲しいと思った。

都市カンパラで行われるアフリカの子ども達のオリンピック。大会期間中、初めて見る都市に、車に、電気に子ども達の目はバスの中でキラキラと輝く。ここに希望は残されてるんだと思った。
舞台の上で、激しいパッションで子ども達が自分を見てくれと言わんばかりに踊る。そこには奥の方で子供たちの悲しみ、怒りが渦巻いてエネルギーになっていることが感じられた。
この音が、歌が、ダンスが世界中に響いて欲しいと思った。
是非観て欲しい良作のドキュメンタリーだ。
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by komei115 | 2012-04-02 11:41 | Movie