青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~ 少年と自転車 ~

ネタばれ注意!

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少年は自転車を必死に漕ぐ。不安や悲しみ、希望という風を受けながら



「ある子ども」などで有名なベルギーを代表する映画監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟の最新作。第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞し、これでカンヌ国際映画祭5作品連続主要賞獲得の快挙を果たした。
父親に捨てられ施設で暮らす少年が一人の女性と出会うことで、人を傷つけながらも少しずつ心を開き、成長していく姿を鮮明にとらえていく。

あらすじ
児童相談所に預けられている少年シリルは、父親を見つけてまた一緒に暮らしたいと願っていた。ある日、彼は美容院を営むサマンサと出会い、彼女に里親になってもらうように頼む。それからは週末は彼女と共に過ごすようになり、二人は自転車に乗って街を走り回り、ようやくシリルの父親を捜し出した。

タイトルだけで物語をイメージしてしまうと、「少年と自転車」という一方向のみの見方しかできない。しかし、これは決して少年の心の成長だけを描いているわけではない。必ず成長には外的刺激・要因があるわけで、少年と関わる親や大人の物語でもあり、私たちの現実的な生き方そのものをこの映画では問うている。
想像を絶する過酷な境遇を生きる少年の心を誰も覗くことはできないし、理解してあげることはできない。それゆえに、彼が極端な行動に出た時は常に大人たちは困惑し、見てる我々も「恩を仇で返す悪ガキだ」と苛立つ。ここで、子どもとの関わり方が問われる。
作中では、子どもに付き合っているうちに大人たちも子どもになる。それは本気で関わり、ぶつかるからだ。逆に子どもっぽさに耐えられず、徹底して大人になろうとする大人はどこか子どもを拒絶している。
子を育むというのは難しく、永遠のテーマだ。心を閉ざした子ならなおさらだ。
だが、私たちは誰でも、常にこのテーマに向き合う必要がある。子を育むのは親だけでなく、社会もだ。自分の子ではないからと諦め、見捨たり、何より無関心であってはならない。 親は、大人は常に子ども達の痛みやリスクを引き受けたり、一緒に受けたりする存在であって欲しい。
しかしながら、「ある子ども」 でもそうだったが、少年が何か大切な事に気付くその瞬間がとても詳細に、そして繊細に描かれている。 その瞬間は一種の絶望にも見てとれる。物事を真摯に受け止め、新たな道を進んでいく時、そこには多少なりとも自分、もしくは身近な人にコストが降りかかり、同時にそれは痛みが伴う。そこを徹底的に描きとり、少しの変化も見逃さない監督の手腕と視野、心は草原のように広く、温かい。
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by komei115 | 2012-04-10 18:54 | Movie