青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~ アーティスト ~

ネタばれ注意!

072.gif072.gif072.gif☆☆  3.4/5

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それはモノクロの最新デジタル写真とでも言おうか。古臭さを残しながらも、21世紀らしさの香るお洒落なサイレント映画



今年の第84回アカデミー賞で作品賞を含む5冠を達成した、フランスのミシェル・アザナヴィシウス監督の作品。
サイレントからトーキーへ。時代とともに移りゆくハリウッドを舞台に、スターの葛藤と愛を描く。数多くのサイレント傑作のオマージュが映される度に、映画ファンは心をくすぐられ、シンプルでロマンチックなラブストーリーも爽快である。

あらすじ
1927年のハリウッド。サイレント映画のスターとして君臨していたジョージ・ヴァレンティンは、新作の舞台あいさつで一般人のペピーと出会う。その後オーディションを経て、エキストラから脇役、そしてジョージの何げないアドバイスをきっかけにヒロインを務めるほどになったペピーは、トーキー映画の到来とともにスターの階段を一気に駆け上がる。一方でジョージは、かたくなにサイレントにこだわっていたが・・・。

一見時代の流れに逆らったようなモノクロ・サイレント映画だ。内容もベタで、シンプル極まりない。正直、サイレントを見たことない人は物足りなく、退屈かもしれない。
しかしながら、実際に私が観た時はほとんどの観客の反応があまりにも皆無で驚いた。しーんとした空気の中、音楽だけが小さく流れる。サイレント映画だけに、会場が一度空気を作ってしまうと笑いづらくなる。逆に観客に気を取られ、映画に集中できなかった自分も情けない。
それにしても寝てる人もいたし、そんなに面白くなかったのだろうか?お国柄のジョークもあるが、現代の日本人特有の変な恥じらいが邪魔している気がしてならない。何となく残念だ。
映画の方は、実はただ昔に立ち返っているわけではない。無論、サイレント映画の復刻を望んでなどもいない。至る所で型を破り、新しい試みが試されている。映像はカラーフィルムで撮影してから黒白にコンバートしたものだろう。昔のモノクロでなく、グレーの綺麗な色味が出ている。
また、全くのサイレントでもない。その効果でジョージの頑なな心理世界と現実世界との切り替えを見事に表現している。
物語の流れはベタなのだが、これまでにないような爽快感がある。あえてのベタさの中に込めた新鮮さとでも言おうか。
役者も素晴らしかった。外見、動作は昔風に務めていているように見えて、内側には若々しさが溢れている。名優犬アギー(uggie 10才)の演技も愛らしさに満ち、驚かされた。米アカデミーとオスカー「金の首輪」、仏カンヌでパルム“ドッグ”(もじった)など数々の賞に輝いただけのことはある。
ただ古いだけでなく、現代の技術、センスを調和させてあるからお洒落なのだ。まさに温故知新とはこの映画に相応しい言葉だろう。
時代は否応なく移り変わる。「老兵は席を譲り・・・」という言葉が作中出てくるが、マッカーサーの「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という言葉を思い出した。
古いものは去る。それは事実だろう。だが、古典や芸術等作品は今も色褪せず輝きを放ち、私たちを魅了し続けているという事実もまた確かだ。記録し、何かに残すことは大切なことで、そしてそれを人が記憶することに最大の意義があろう。
時代の流れには決して逆らえないが、正も不正も含めた私たちの心の記憶だけはいつまでも変わらないようにしていたいものだ。
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by komei115 | 2012-04-12 12:04 | Movie