青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~TITANIC~

ネタばれ注意!

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2012年4月7日より公開中
詳しい公開情報はこちらへどうぞ
http://www.titanicmovie.com/#/home
http://www.foxmovies.jp/titanic/index.html?top


タイタニック号の沈没から100年。3Dでもう一度甦る感動と興奮の大スペクタクル。前作を圧倒的に上回る194分の時間はあっという間でまるで夢のようだ。それにしてもディカプリオってやっぱりカッコイイ!



『アバター』のジェームズ・キャメロンが1997年に発表し、アカデミー賞作品賞ほか全11部門に輝いたラブロマンス映画が3Dとなって甦った。内容こそは変わらずとも、300人のスタッフと最先端デジタル・テクノロジーを投入し、全フレーム映像を改めてチェックしてクリーンにするという、プロとしての入念かつ壮大な作業を敢行。加えて前回の映像で指摘された星座の位置の違いを修正するという徹底ぶり。その結果、タイタニック号の船内や甲板の奥行き感、沈没シーンの迫力と臨場感が一段とパワーアップしたバージョンとなっている。特に奥行きの素晴らしさは圧巻で、改めて3Dでしか味わえない感動の再発見がここにある。1997年の初公開時に劇場へ足を運んだ人も再び圧倒されることは間違いないだろう。

あらすじ
1912年4月10日、イギリスのサウザンプトン港から豪華客船タイタニック号が出港。婚約者の資産家キャル(ビリー・ゼイン)と乗船し、彼との政略結婚に絶望するローズ(ケイト・ウィンスレット)は、甲板から海に身を投げようとする。だが、そこに居合わせた画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)に助けられる。それを機に彼らは惹かれ合うが、キャルの策略でジャックは宝石泥棒に仕立て上げられて警備員室に閉じ込められる。そんな中、タイタニック号の船首が巨大な氷山と接触して浸水が始まり、船体が傾いていく


今回は、3Dに対する評価や作品の評価、物語としての評価といろいろと書きたいことがあるので、それぞれ分けて書いていきたい。あらかじめ述べておきますが、長文失礼致します。


・本作品の3D化に対する評価

この「タイタニック 3D」は、ジェームズ・キャメロン監督の執念の賜物といえる。
現在製作されている3D映画に比べ、本作品のような「後付け3D」の見せ方は難しいといわれている。もともと3D用の演出がされていないために、そこから手を加えるのが困難なのだ。それを海底探査に始まり、ほぼ原寸大で再現された豪華客船の偉容、3等船室とVIPルームの対比、そして沈没のスペクタクルといった体感性に富む画面構成に加えられた遠近や立体の芸術的センスには、15億円と60週間が費やされた。決して「安直な2Dの3D化」にはなっていない。
「一度公開された映画にここまでする必要があるのか」「物語ることより魅せることへの優位性に重きを置き始めたCG超大作の起点である」と揶揄されもした。こだわりを貫いた製作は、失敗すれば映画会社の命運さえ危うくなるという危険性も孕んでいた。しかし、徹底した監督やスタッフの狂ったまでのプロ意識が世界中の観客の心を揺り動かし、見事に勝利したといえる。
私はこれまで3Dを馬鹿にしていた。映画はサングラスをかけてみるものではないと思っていたし、見せるよりも物語が重要なのだと思っていた。しかし、本作品で3D効果がもたらす映像表現の可能性の飛躍についての発見があった。先に述べた船の映像もそうだが、20代初めの男女優の肌艶や表情の初々しさが、3D化によって磨きがかかったドラマティックな要素を引き出している。映像を見せるのではなく、魅せることでさらなる感動が生まれることを改めて知ったのだ。


・「タイタニック」をもう一度公開した評価

昨今の、世界の大きな転換に対する人類の意識の変化と、大作に対する観客側の映画への意識の変化も彼らの勝利に貢献したといえるだろう。
「世紀のラブロマンス」と言われ、様々な伝説的記録を保持した今作品は、15年という歳月を経て、風格さえも漂う「名画」へと着実に育っていた。それを、この2012年という偶然にも「タイタニック号沈没から100年」の年に公開したことは大変大きな意味があると思われる。
平家物語の「祇園精舎の鐘の声・・・」というように「安全神話」を信じ切って、浮かれた者たちの欲望に待ち受ける終焉の悲劇。人間の傲慢さによる無理な運転と不注意によって氷山にぶつかり、船内を鉄砲水が襲う。危険を知っているのは金持ちと乗組員だけで、市民は何も知らされないで船内に閉じ込める。景観が悪くなるとの理由で、乗客数2200人をはるかに下回る約1000人分の救命ボートの数。科学の粋を極めた巨大文明の象徴がコントロール不能に陥り、遂には屹立し、人々を奈落の海の底へとを真っ逆さまに振り落としていく。犠牲になるのは身分の低い者たちばかりで金持ち700人が助かったのに対し、1500人中生き残った者は6人という悲惨さ。
まさに阿鼻叫喚の地獄絵だ。この「非日常的リアル」さは、もはや主人公ら2人の愛を引き裂く単なる背景には映らない。特に3・11後の世界を生きる私たちはようやく今となって、この物語に込められた真の意味を理解することになるのだろう。100年前のカタストロフィーと、そこから導かれる教訓を今私たちはこの目に焼き付けておく必要がある。


・作品に対する評価

これまで見てきた映画の中でBEST3に挙げても過言ではない。そしてそれは、新たな傑作が生まれようとも変動しない地位を確立する勢いである。
実は恥ずかしながら、「タイタニック」を初めから終わりまで集中して見たのは今回が初めてである。最初に見たのは小学6年生くらいだっただろうか。覚えているのは後半だけで、沈没のシーンとディカプリオが海へと沈んでいくシーンだ。多くの人が死んでいく姿に恐怖し、感動というものは少なかった気がする。
そして、その後、「金曜ロードショー」などで取り上げられると、ところどころ見たりする程度だった。
今回、改めて見て気づかされることが多かった。
第一にあったのが自分が映画の主人公たちくらいの年齢になっていたということだ。何を言ってるのかよくわからなかった「大人の事情」がクリアに見えてくる。
そして、この作品は大人としての視点でもって、決して「α読み」ではなくて「β読み」ができる作品だということに気付かされた(詳しくは前回書いた「Reading 読みの整理学」の記事を読んでもらいたい)。
この物語からイギリス社会とアイルランドとの関係、そして彼らの思い描くアメリカ像が見えてくる。
ここで大まかな歴史を振り返ってみたいが、そもそもアイルランドとイギリスの関係は、日本と韓国の関係に近いものがある。アイルランドは、遥かな昔からイギリスからの侵略を受け、何度となく戦ってきた。
元々アイルランドはケルト民族の国であるのに対して、イギリスがアングロ・サクソン、アングロ・ノルマンの国であり、民族が異なる。さらに、宗教改革によってイギリスがプロテスタントの国になったのに対し、アイルランドはカトリックの国にとどまったことから、二つの国は宗教的に対立する運命となる。
そんな中、イギリスは世界一の海軍を持ったことで一躍世界一豊かな国となり、その隣のアイルランドは植民地になってしまったという大前提がある。
タイタニック号は、北アイルランドのベルファストにあるハーランド・アンド・ウルフ造船所で建造された豪華客船であり、アイルランド人に対する差別がイギリスの上流階級の人々からあったり、船を影で支える過酷労働者や貧しい人々はアイルランド人が多く描かれている。
ディカプリオ演じる主人公ジャック・ドーソンも貧しいアイルランド人の青年だ。彼はイタリア人の友人(同じくイタリアもこの頃から貧しい人間が多かった)と一緒にポーカーをしてタイタニック号の切符を手に入れる。目指すは自由の国アメリカ。彼らに取ったら金持ちになるというチャンスを掴める国であり、「何でもできる」という希望に満ち溢れている。
一方、ヒロインのケイト・ウィンスレット扮するローズ・デウィット・ブカターは家名は超一流なものの、借金で破産に追い込まれており、母と自分の階級保持のために御曹司のキャルとの婚約を果たしている。豪華な生活を続けるため、母のため、家名のために自分を捨てたローズの目にはアメリカが地獄にしか見えず、そこに向かうタイタニックにはなんら興味も持てない。
結婚相手が嫌。母が嫌。全てが嫌。
何もかも捨てたい彼女はタイタニック号の船尾へと向かう。船尾というところがミソだ。今までの生活に対する後悔と、これから向かう先になんら希望がないと、彼女は船尾で身投げして自殺を図る。
そこに現れたのがジャックだ。ジャックはデッキの手すりを越え、海へと立つローズを甲板へと引き戻す。
そして、あくる日ローズと今度は船首の方で話すジャックは、ローズを船首の手すりの上に立たせ、目の前に広がる景色を見せる。「世界はこんなにも美しく、広大だ。可能性はいくらでもあるんだ。希望は無限に広がっているんだ」とまるで伝えているようだった。実際、彼女に思いは届き、ローズはジャックという希望に恋をした。ローズはジャックに自分の裸体を描いてもらう。装飾という仮面を全て外したあるがままの自分の裸体を。そこにキャルからもらったダイヤのネックレスだけをはめるという行為は、キャルに対しての当てつけだ。「あなたが買った豪華なダイヤはこのふしだらな私という女がつけているのよ」とでも言いたいように。
それから二人は子どものように船の中を駆け回って彼女のSPを欺き、船の汚い貨物室の中でセックスをする。上流階級の女にはあってはならないことで、それを許した彼女の自由への決意は高い。
そして、悲劇は起こる。
氷山へとぶつかったショックで船首の底から水が入ったタイタニックは前から沈没し始め、半分に真っ二つに折れる。そして、船尾も船首に引きずられるようにして沈没していく。
二度ローズは救命ボートに乗れるチャンスがある。一度目は母と一緒に乗る時。このときはジャックを疑ってしまい、希望が霞んでいる時だったが、彼女はジャックを信じた。そして、上流階級と品格にこだわる母(そして自分自身)との決別を意味するものでもあった。
次にジャックと再会した時、彼は残ったボートを探し出し、ローズを乗せる。ジャックは男であるが故に乗ることはできなかった。救命ボートが下げられる中、ローズはそれを飛び越え、船へと戻る。彼女にとって、信じられる希望はジャックだけしかなく、ジャックと運命をともにしたいという決意だった。と同時に、自分の中の希望を自分の手で救い上げるという意味もあろう。
船に戻ったローズはジャックと会って沈んでいない船尾へと走る。そして、人混みの中、ジャックはローズを抱き寄せながら進む。一般女性が同じように旦那に抱かれているシーンが数秒映るが、それは彼女がただの一人の女になった瞬間を描いたものだったと受け取りたい。
そして、船尾が屹立に向かうとき、今度はジャックが船尾のデッキの手すりを越えて船外へと出て、彼女を船外へと引っ張る。はじめは絶望のメタファーと映った行為がジャックが先導することによって絶望の中でも生き残れる希望の一本道であるかのように映った。それほどジャックの存在は大きい。
船が完全に沈んだ。暗闇の中、溺れる人間で犇めき合う海。北海は凍るように冷たい。二人は浮いている木材を見つけ、二人では沈むのでローズだけを乗せて、救助を待つ。体温が削られ、意識も遠のく中、ジャックはローズに声を送り続ける。こんな目にあっても「乗らなければよかった」とは後悔せず、ローズと出会えたことが人生で一番うれしいと話す。彼は自分に死が迫っていることを知っていた。だから、命の炎が消えるまでローズに希望を与え続ける。アメリカでやりたいことを何でもしようとか、子どもをたくさん生もうとか、元気なおばあちゃんになってるとか話しながら、彼は死ぬ。
救助隊が来たとき、ローズはジャックに知らせるが、既に息がないことを知り絶望する。しかし、思い立った彼女は叫び、声が出ないことを知ると、泳いで笛を鳴らし、生還した。
ここで、彼女はジャックを海に沈める言わずと知れた名シーンがある。それはなぜか。きっとローズはジャックを自分だけの永遠にしたかったのではないかと思う。ライフジャケットを着ていなかった彼は、他の乗客と違って海の中へと消えていった。不法にチケットで乗客を果たした彼の存在を知っているのはローズだけとなったのだ。
生還後、彼女は「自由の女神」を見つめる。地獄と思っていたアメリカが、初めて彼女の目に「自由」をもたらす国へと映らせたのだ。女神のトーチは希望の灯に見えたに違いない。
それから彼女はローズ・ドーソンと名乗り、102歳まで幸せに生きた。
そして、タイタニック号のダイヤ発掘調査隊のことをニュースで知り、発掘隊の船へ乗せてもらい、若い乗組員たち相手に当時の話をする。まるで、最後の役目を果たすかのように。「女性には夫にも話せない秘密があるものなのよ」と話すローズの言葉を聞いていると、もしかしたら、彼女はジャックとの子どもを産めたのかも知れないと思ってしまうのだ。ローズ・ドーソンと名乗ったのにはそういう意味も内在しているのではないかと良い意味で勘ぐってしまった。
夜、彼女は一人で甲板へと出て密かに持っていたダイヤをタイタニックやジャックが眠る海へと放る。
自分が小さいとき、彼女のした行為が分らなかった。死んだジャックに捧げるためかと思っていたがどうやら違う。これによって、ダイヤが何も生まないものであることを知らしめることに繋がったのだ。だから発掘隊の関心がただダイヤへと向く中で、彼女の行為はそれよりも大切なもの(ジャックとの記憶であり、ジャックによって広がったその後の自分が歩んできた人生という記憶)へと目を向けさせることに成功した。
そして、彼女は部屋の中で、実際に歩んできた写真、それも夢だった馬に跨って乗っている写真だったり、男勝りなポーズをしたり、家族の写真だったりというジャックによって実現した思い出に囲まれて、タイタニックと彼のもとに旅立った。
彼女が死の淵で見たのは、タイタニックの優雅な船内に彼女の好きだった者たちしか乗船しておらず、その中でジャックと熱いキスをするのだから彼女が一番見たかった夢だったに違いない。



・事件の概要と、そこから見えてくるもの

タイタニック(RMS Titanic)は、20世紀初頭にイギリスのホワイト・スター・ライン社によって建造された豪華客船であり、北大西洋航路用に計画した3隻のオリンピック級客船のうちの2番船であった。
1912年4月14日の深夜に氷山に接触し、翌日未明にかけて沈没した。犠牲者数は乗員乗客合わせて1,513人(他に1,490人、1,517人、1,522~23人など様々な説がある)であり、当時世界最悪の海難事故であった。その後、映画化されるなどして世界的にその名を知られている。
ホワイト・スター・ラインは当時白熱していた北大西洋航路における「ブルーリボン賞」と呼ばれるスピード競争にはあまり関心を示さず、ゆったりと快適な船旅を売り物としていた会社であった。したがって、タイタニックもスピードより設備の豪華さに重点を置いて設計されていた。また、当時としては安全対策にも力が入れられており、防水区画が設けられていた。特等~1等船室は贅沢な造りであったが、船体下層の客室にはレシプロ蒸気機関の振動が響くなど、快適とは言いがたい環境であった。
タイタニックは、完成当時は有名ではなかった。まるでタイタニックのみが最も巨大な船であるかのように演出されているが、当時は「オリンピック」がその代表であり、タイタニック、ブリタニックという2隻の姉妹船を含め「オリンピッククラス」と呼ばれていた。そのため、タイタニックの写真としてオリンピックが使われることも度々行われており、これらの事例からわかるように、当時タイタニックはオリンピックの陰に隠れた存在であった。
沈没したことではじめて有名になったのだから何とも皮肉なことである。
しかしながら、このような船がなぜ、沈没してしまったか。
諸説ある。この「タイタニック」という映画では、タイタニックが氷山に衝突したのは、大西洋最速横断記録(ブルーリボン賞)を獲得しようと無理な航行を強行したことが事故の遠因になったという説と操船ミスの2点を挙げているが、未だ真の原因はわかっていない。
しかし、どちらにせよ人間の傲慢さが生んだ事故に違いないだろう。私たちはここから何を学びとらなければならないか。それは、自分の目でどういった設備がなされているのか確かめなければならないということだ。タイタニック号の事例なら救命ボートの数、避難経路、救助までのかかる時間、持っておく救急用品など予め検討しておく必要があったと思われる。
「安全神話」なるものに頼り切ってはならない、事故は一見外部的要因が引き起こすように見えて実は人的要因の方が大きいということを頭に置いておく必要があろう。
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by komei115 | 2012-05-02 23:04 | Movie