青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~ムサン日記 白い犬~ まとめ 1

38度線。誰しも一度は社会科の授業で耳にしたことがある言葉だろう。朝鮮半島を北と南の二つに分断する線。本来国境なんてなかったはずなのに第二次世界大戦、朝鮮戦争と経て北はロシア南はアメリカが占領した(日本も一枚噛んでいるが)。
分断された北と南は今も多くの問題を孕み軋轢を生んでいる。同じ民族同士が憎しみ合うというこの悪循環はどうにか改善してほしい(以前金大中の太陽政策というのがあったっけ)。映画「パッチギ」で、もし日本が南北(東西)で分断したらという話が出ていたが、もしそうだったらどうなっていたのだろうか。同じように南北で憎しみ合っていたのだろうか。そうすると東京で暮らしている今の自分は存在しなかっただろうし、多くの東に住んでいる友人とも出会わなかっただろう。偏った思想を持ち、国境の外の国を批判していたかもしれない。運命とは皮肉なものだ。

さて、グダグダと述べてきたが、まず確認しておきたい南北朝鮮の背景がある。映画のタイトルにある「ムサン」とは何だろうか。北朝鮮と中国の国境の街で、漢字では「茂山」と書く。脱北者の多くがまずはムサンを目指し、川幅が狭く冬には凍結する豆満江という川を渡って中国に入り、そして中国から韓国へと入っていくのだ。そのためムサンには、脱北者を取り締まる国境警備隊が配置され、実弾を常時携帯している兵士が警備にあたっている。取り締まりは非常に厳しく、「怪しい人間が通ると捕まえてパンツの中まで調べる」と言われるほどである。
韓国に暮らす脱北者は年々増加の一途をたどる。何故か。彼らは北じゃ生活できないほど飢えているからだ。かつては政治亡命としての脱北者がほとんどだったが、1995年頃から始まる北朝鮮の大飢饉あたりから、深刻な食糧難や生活苦のために脱北する人が増加し、2007年に1万人を超え、2011年11月の時点で23,100人にも達した。脱北者の人権を訴えて、政治家を目指し選挙に出馬する者もあらわれているが、その多くは厳しい生活を余儀なくされているという現実がある。
脱北者が韓国にやってくると、まず京畿道にある中央合同尋問センターに収容され、長期間にわたって尋問を受ける。家族について、脱北の理由、脱出ルートなど、生い立ちから脱北にいたるまでの過程をすべて話さなくてはならない。それが終わると、同じく京畿道の「ハナ院」という施設で最低3か月間は韓国での生活に適応するための訓練を受ける。訓練中に社会見学にも出かけ、韓国社会に溶け込むための実地訓練も行う。また就職のための職業訓練もある。ハナ院での訓練終了後、いよいよ社会に出るが、2年間は、「身辺安全」と称して地元警察によって保護される。「ムサン日記」に登場しているパク刑事のように、保安局の刑事が生活指導、職業の斡旋にいたるまで生活の面倒をみてくれるのだが、中には「監視されている」と不満を持つ脱北者も多い。
いざ、韓国で生活できるようになっても、その差別は歴然としている。彼らが北の人間といわなくても韓国側は彼らが北の人間であることがすぐ分かるようになっている。「住民登録番号」という制度があるからだ。これは、韓国籍をもつ者に対して出生時に与えられる13桁の識別番号で、国民の日常生活に不可欠だ。さまざまな手続きの本人確認手段として使われている。脱北者の住民登録番号は、男性は 125 から、女性は 225 から始まる番号で統一され、番号だけで脱北者であることがわかってしまうため、バレてしまうとスンチョルのように就職差別などを受けることが多い。

意外に長くなったので映画の感想はまた次回に。
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by komei115 | 2012-06-23 23:41 | Movie