青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~だれもがクジラを愛している~

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2012年7月14日よりTOHOシネマズシャンテなどで公開中
詳しくはhttp://love-whale.jp/

アラスカのバローで繰り広げられる、クジラを救う人間たちの奮闘劇。その時あなたは、「BIG MIRACLE」を体験することになろう








「そんな彼なら捨てちゃえば?」のケン・クワピス監督が トーマス・ローズの原作を基に映画化したノンフィクションの物語。1988年、アラスカ州バロー沖の分厚い氷の下で動けなくなっていたコククジラ3頭を、救出しようとする人々の奮闘を描き出す。世界中がかたずをのんで見守った救助劇には思わず引き込まれる。

あらすじ
1988年、アダムはアメリカ合衆国最北の街、アラスカ州バローにテレビリポーターとして派遣されていた。ある日、彼は3頭のクジラの親子が氷の下に閉じ込められ、唯一できた小さな穴から呼吸を必死に続けているのを発見する。そのニュースをテレビ局へ送ったところ、アダムの元恋人で、国際環境NGOグリーンピースの活動家レイチェルから電話が入る。


クジラと聞くと、九州の港町育ちの私にとったら正直「食べ物」でしかない。
正月や祝い事などでクジラの肉が出されると喜んで食べる。残さず食べる。今だって正月に実家に帰ると出るし、出たら待ってましたと言わんばかりに食べる。クジラベーコン、オバ(尾羽。尾びれ)、他にも内臓のヒャクヒロ(百尋。小腸)や末広 (畝須を茹でたもの)も美味である。
クジラの肉は美味しいだけでなく、体にも良い。
動物性高タンパク質で低脂肪、抗疲労機能成分バレニン、鉄分、魚介類と同じく多価不飽和脂肪酸(EPA、DHAなど)、コラーゲン、認知症予防のプラズマローゲンなどが含まれている。

クジラ(他にもイルカなど)は太古の昔から世界各地に住む人間たちの食文化を支えてきた。カナダの先住民イヌイットは、古くはホッキョククジラを最重要の食料資源としており、その後寒冷化によるホッキョククジラの減少から、アザラシなどに主食を移したが、鯨肉食の文化も根強く続き、現在でもシロイルカの捕獲を続けている。特にクジラやイルカの皮下脂肪付きの皮の部分を珍重し、最高の御馳走とみなしている。日本においても、縄文以前の旧石器時代からクジラは食されてきた。
食べる。すなわちそれは命を頂く行為だ。人間が生きて活動を続ける上で必須の行為であり、「何を食べるのがダメで、何を食べるのはいい」という区別自体は間違っている。鶏も、牛も、犬も。魚も、イルカも、クジラも同じ命には違いないのだから。

だから私は食べる目的においての捕鯨活動を否定しない。燃料を得るためだけにクジラの油だけを採って殺してきた行為は許し難く容認できないが。
「グリーンピース」なる集団が存在する。自然環境を守るというというのは立派な考えだが、それを大義名分にして捕鯨船に襲いかかり、人間の命を脅かす危険な行為はもはや正義でも何でもない。それは絶滅危惧種を守るために害となる動物を駆除する矛盾と同じだ。動物を保護するかしないかで区別、差別する前に他にやることがあるはずだ。

前置きが長くなってしまったが、すでにこのような思想である手前、こういった人間の「動物愛護」映画はあまり好んでは観ない。そもそもタイトルからして反捕鯨映画の匂いがする。
それでも、ノンフィクションということと、別の映画を観に日比谷のシャンテに行ったら、たまたまシャンテが映画の日だったことから観ることにした。

この映画の面白さはクジラを救う人間たちの愛というよりも、寧ろその裏に隠れた感情の方にある。テレビのリポートによって瞬く間にニュースがアメリカ全土に広がり、アラスカ州バローにはクジラを救いたいというよりクジラを一目見たいという多くの観光客で溢れかえる。それをちゃっかり祭りにして、法外な値段でぼったくってお金を儲ける地域の人たち。クジラを救うために動く「グリーンピース」、政治家、企業家、現地民、メディア関係者。自分を、民族を、会社を、商品を売るための善意はまさに偽善である。だれもが事情や目的を持ってクジラを救おうとするころは思或の塊で、そこに人間の汚さと面白さが滲み出ている。
しかし、小さな穴だったものが人間たちが集まり、輪が拡がることで次第に大きくなっていく。それは人間の力であり、メディアという情報の力でもある。そして、はじめは思或で満たされていた人々の心が、窮地に立たされていく生き物をその場で見て、触れることで、利害を無視した行動に移り始めるようになる。この気持ちはまさに何かに突き動かされるインパルスだ。ここにも人間ならではの面白さが垣間見える。
ついに、アメリカはロシアの手を借りるという国際問題までに発展し、ようやくクジラを氷のない海へと連れ出すことに成功する。そこで沸き起こる人々の喜びはカタルシスである。このカタルシスが奇跡を生んだともいえよう。
そして、この一つの奇跡を享受することによってまた新たに始まる人々の繋がりや愛もまた面白い。いいけげんで、自己チューで、だけど憎めない人間たち。
タイトルはいただけないが、人間の力と汚さと、それをすべて含んだ面白さを存分に楽しめる作品だ。
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by komei115 | 2012-07-18 19:05 | Movie