青い果実の実る頃には

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映画から学ぶもの ~ホタルノヒカリ~

ネタばれ注意!

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2012年6月9日より全国で公開中(そろそろ終了かも)
詳しくはhttp://www.himono-movie.jp/index.html

日常を描く人気コメディドラマ「ホタルノヒカリ」がTVの枠を越えられなかったわけ



ひうらさとるのコミックを原作に、2シーズンにわたって放映された人気テレビドラマが吉野洋監督(初見)によって劇場化された。テレビドラマ版でゴールインを果たした、グータラを極めた干物女の蛍と高野部長が、新婚旅行先のイタリアで大騒動を巻き起こす。

あらすじ
紆余曲折を経、同居人にして上司の高野部長(藤木直人)とめでたく結婚した蛍(綾瀬はるか)。しかし、すてきな奥様を目指して家事や料理に励むどころか、干物女としてさらなるパワーアップを遂げてしまい、家でゴロゴロしてばかりいた。そんな蛍たちも普通の夫婦のように新婚旅行に行こうと、イタリアへ。旅先でイタリア版干物女とでもいうべき莉央(松雪泰子)と弟の優(手越祐也)と出会って奇妙な親睦を深める中、高野部長が何者かによって誘拐されてしまう。


ドラマ「ホタルノヒカリ」は、私が学生時代に、綾瀬はるかの可愛さと、日常をおもしろおかしく切り取った恋愛コメディの手軽さとで、肩の力を抜いて楽しませてもらった作品である。
別に内容が充実しているとか、大波乱が起きるとか、そんなものはなく、ただ「気楽」という点で気に入って見ていた。
そして、何と映画化である。「いやー、これはちょっと某テレビ局の出しゃばり過ぎでしょ」と思いながら、たまたま映画を見る機会があったので鑑賞させてもらった。
結論から言わせてもらうと、ちょっとお粗末すぎたのではないだろうか。
映画を見る前から私の中に生まれていた、漠然とした「きっと面白くないであろう」感が見事に的中した。予想通り過ぎて、映画中は何故おもしろくないのか、私だったらこれをどんな作品にするかをずっと考えてしまっていた。

この漠然とした予想はどこから来たのだろう。なぜ、面白くないのか。
そう、これはもともと「ひもの女」の話なのだ。ひもの女である綾瀬はるかを、同じように茶の間で炬燵にでも入りながらダラダラと、ニヤニヤと観るからこそ楽しめるのだ。TVの延長として、「夏のTVスペシャル」という企画で製作し、茶の間で放送すれば、きっと視聴率はそこそことれたことだろう。だが、映画となるとそうはいかない。肩肘張って映画館の中で109分も中身のない話を聞かされ続けた日には飽きて、徒然で、つまらなくなるのは当然のこと。もしかしたら場内満員の劇場と、ガラガラの劇場とで映画のイメージは異なっていたのかもしれないが、それでも僅かに過ぎない(いや、寧ろ良作の映画は劇場の状況や観客の反応にすらも左右されない)。
映画はただでさえ集中して「見つめ」、映像を「考える」作業をしなければならない。物語にのめり込ませるためには、その物語自体に、想像膨らむSF等ファンタジー、伏線を張り巡らせたミステリーやサスペンス、再生や復帰のカタルシスを味わえる人間讃歌の感動ドラマなど、何らかの要素が芯を成してないときつい。
それがない日常恋愛コメディである「ホタルノヒカリ」を映画で魅せるためには、映画として成立する新たな要素、それも少し真剣な要素(それが映画の核となるテーマであると思いたい)を盛り込むべき必要があるかと思う。恋愛だったり、コメディだったり、それは構わないがどこかできっちり締める(オチ)ような真剣さが欲しい。そして、それを締めることができるのが俳優陣であり、撮影陣だ。

さて、映画「ホタルノヒカリ」を公開するにあたって何を伝えたかったのか。悪いが、終始何も伝わってこなかった。ドラマではおとぼけコンビの部長と蛍。頼みの綱のコンビもキレが悪く、ウケない。映画で登場する松雪泰子と手越祐也、特に手越は結局何のために物語に登場してきたのだろうか。わからない。写真のサルベージがきっと物語のヤマだと言いたいのだろうが、全くもって感動しない。中途半端に新しい物語、キャラクターを展開してしまったために、既存のキャラが生かされず、脈絡も何もないただの締まりのない小話にしか映らなかった。
締まらない理由の一つがわかった気がする。登場人物が少なすぎるのだ。それでいて、新人もいなければ大御所もいない。既存のイメージを壊すような新たな風が吹き込むことも、張りつめた空気に緊張することもなく停滞した登場人物たちが犇めく中、イタリアの景色をこれ見よがしに見せられても全てが霞んでしまっている。

TV作品の映画化。それを魅せる映画にするのは至難の業だ。しかし、もっとどうにかなったんじゃないかなと思う。例えば、「踊る大捜査線」や「木更津キャッツアイ」、「のだめカンタービレ」、最近では「モテキ」なんかは映画として成功したといってもいい(「のだめ~」はドラマ・原作ともに掻い摘まんだ程度で、映画は観ていないが、面白かったという話をよく耳にする)。
これらの作品に比べると明らかに見劣りしてしまう「ひもの女」なのであるが、もう少しテーマを明確にし、出すところを出して、抑えるところを抑えれば見応えのある作品になった・・・はずである。
例えば、「結婚したから新婚旅行に行く」がテーマなら、別にイタリアでなくとも国内で良かったのではないだろうか。観光地に行くのは良いが、自然やそこに住んで営む人間の素朴な暮らしを見つめて、夫婦とは何なんだろうか、互いに寄り添うってどうすればいいのかを考えた方が味が出そうな気がする。そこに登場するのは農業を営む老夫婦で「何度も離婚しそうになったり、波風立つことは多かったけど、いつの間にかここまできてしまったよ」なんて気楽に言い合える人たちであったらなおのこと良い。
そこに「死別」が絡むのも悪くはないが、中途半端に感情を揺さぶるよりも、できればもっと温かく終わらせた方が吉だろう。
なんて、今さらこんなこと語ったところで野暮ったいのでここで話を切り上げたい。

ドラマを全話見ていただけに、この映画化は残念でならなかった。
「ホタルノヒカリ」ファン、綾瀬はるかファンの方々、申し訳ありません。
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by komei115 | 2012-07-25 19:54 | Movie