青い果実の実る頃には

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~ Les Misérables ~

映画

072.gif072.gif072.gif☆☆  6/10

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2012年12月21日より全国各地で公開中。詳しくは
http://www.lesmiserables-movie.jp

一人の男ジャン・バルジャンの生涯をミュージカル映画として描く。心揺さぶられる人間の愛と慈悲の賛歌は一見の価値あり



『英国王のスピーチ』でオスカーを受賞したトム・フーパー監督による、文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説であり世界各国でロングラン上演されてきたミュージカルの映画化。貧しさからパンを盗み19年も投獄された男の波乱に満ちた生涯を描く。主演ジャン・バルジャンをヒュー・ジャックマンが務め、彼を追う警官にラッセル・クロウがふんするほか、アン・ハサウェイやアマンダ・セイフライドといった豪華キャストが勢ぞろいする。

あらすじ
1815年、ジャン・バルジャンは、一つのパンを盗んだ罪で19年も刑務所に牢獄させられた。仮釈放された彼に与えられる仕事はなく、またの貧窮によって人間不信に陥った彼はとある老司教の銀食器を盗むが、司教の慈悲に触れ改心する。
それから8年後、名前を偽り工場主として成功を収め市長になった彼は、娘を養うため極貧生活を送るファンテーヌと知り合う。そして彼女が死にいく中で幼い娘の面倒を見ると約束した。そんなある日、バルジャン逮捕の知らせを耳にした彼は、思い悩む。誤認逮捕された男を見捨てるか、助けるか。彼がとった行動は・・・。


遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
年末年始と忙しく更新ができない日が続いていましたが、今年もほそぼそと続けていく所存なのでよろしくお願いします。

さて、新年一発目に見に行った映画は「Les Misérables(レ・ミゼラブル)」。昨年末から公開され、すでに人気を博している本作がどういうものかという興味本位と帰省によって映画を見れていないことへのストレスから地元唯一の映画館に足を運んだ。
ミュージカル映画は「singing in the rain」 や「Mamma Mia!」などこれまで数本見てきており、私はどちらかというと好きなジャンルである。ただ、ミュージカル映画に限っては何も考えずエンターテインメント性に溢れたものを好む。
理由は「音楽」の力にある。音は人の感情に多大な影響を及ぼし、時にその作用に支配せれてしまうことすらあるからだ。ただ気持ちを高揚させてくれるのであればいいが、それが一種のプロパガンダになりうるのであれば用心したい。普段からドラマにおける音楽に対してはある程度の距離感を持って聴くように努めているが、政治性や道徳性の強い本作を相手に冷静に向き合い、評価できるだろうかという一抹の不安があった。

原作は150年前に書かれたビクトル・ユーゴーの「ああ無情」。19世紀の革命後のフランスが舞台で、これまでいろんな形で表現されてきた苔生したような話である。したがって、観客の多くは物語について初めからある程度の知識を持ったうえで臨むことになる。貧困や格差にあえぎ自由を求めた一部の民衆たちの蜂起。しかし、それに賛同することのなかった大衆。無情に鎮圧され、戻っていく日常。etc...
観客は本作を見て何を思ったろうか。何を感じたろうか。世界は今変革を迎えようとしている。各地で革命を起こそうとデモや暴動が起き、日々血が流れている。この世界状況の中で、それぞれの両の瞳にどう映ったろうか。

ジャン・バルジャンという一人の男の愛と苦悩の生涯は確かにインパクトが強く、大きな感動を呼ぶがそれだけではない。私は先月の衆議院選挙を考えられずにいられなかった。3・11後の初めての選挙にも関わらず、国民の4割が選挙権を放棄したいまの日本社会の姿を。
反旗を翻して無情に散っていった市民の死体の山にトリコロールの国旗が虚しく汚れはためく姿は無常である。しかし、その姿は今まさに私たちが苦虫を噛み潰し、味わっていることではないのか。 私は、私たちは一体何に負けたのであろうか。それは人々の「無関心」だ。この映画の革命は、他力本願的思考の民衆たちの無関心により失敗に終わる。
私たちはどこに向かうのか。どのように生きていたって必ず明日はやってくる。逃げることはできない。クライマックスに流れる「民衆の歌」は明るく勇気や希望に満ち満ちている。劇場のいたるところですすり泣く声が聞こえる。圧倒的な感動のきわみへと誘う歌の力に、全身が熱くなった観客も多いかもしれない。しかし、歌われるだけ私の心は潮のように不安が満ちてくる。鼓舞することなど到底無理だ。
俳優たちの演技はどれも見事だった。パトスが迸り、溢れ出すように紡がれる歌声は私たちの心を大きく揺さぶってくる。ミュージカルとは、俳優たちが全身全霊をもって共鳴させ奏でる歌声を味わう芸術なのだと改めて思い知らされるが、やはりその分物語自体に対する自身の判断能力が鈍ってしまうのにはいくらか注意が必要だと感じてしまう。
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by komei115 | 2013-01-09 23:23 | Movie