青い果実の実る頃には

komei115.exblog.jp

項目に分けて日々思ったこと、書きたいことを自由に書いてます。意見、批判するコメントは大歓迎です。個人的な問い合わせはこちらまで。koumeipart115@yahoo.co.jp

ブログトップ

「愛、アムール」と「皺 しわ」から老いを見つめる その2


皺 しわ

072.gif072.gif072.gif072.gif072.gif

b0215567_13142012.jpg




制作国スペイン 2011年公開(日本未公開)
2012年12月17日(月) 午前1:25~2:56 NHK(Eテレ)にて放送(終)
詳しくはhttp://www.arrugaslapelicula.com/es/(スペイン語)
http://www.sansebastianfestival.com/in/pelicula.php?ano=2011&codigo=590118(英語)

老人ホームとそこで暮らす高齢者の悲惨な実態を鋭く切り取るが、同時に二人の老人の友情が物語を温かく包みこむ。しかし、切ない。



Paco Roca(パコ・ロカ)氏の原作『Arrugas(邦題:皺(しわ))』をIgnacio Ferreras(イグナシオ・フェレラス)がアニメ映画化。本作は、2008年の「Premio Nacional del Cómic」(漫画国家賞)を受賞した「老い」というハードなテーマを扱った作品だ。今年9月のサン・セバスチャン国際映画祭で上映された。映画はスペインのアカデミー賞と称されるゴヤ賞にノミネートされるなど、スペインで公開されるや話題となり、大きな社会的反響を呼んだ。


《あらすじ》
 かつて銀行の重役だったエミリオは、子供達により養護老人施設へと預けられる。同室のミゲルはお金にうるさく抜け目がない。食事の時のテーブルには、時折面会に来る孫のために色んなものを取っておく女性アントニアや、アルツハイマーの夫モデストの世話を焼く妻ドローレスがいる。また、施設には様々な行動をとり、様々な思い出を持つ老人達が、日々の暮らしを送っている。そして重症の老人は2階の部屋へと入れられる。エミリオはある日、モデストと薬を間違えられたことで、自分がアルツハイマーだと知る。ミゲルは日常を変革しようと車を手に入れ、エミリオやアントニアと共に深夜をドライブしようとするが…。

本作がNHKが主催する第39回「日本賞」のグランプリに輝いた。同賞は、NHKが主催する「教育」をテーマにした優れた映像作品に贈られる賞だ。
Eテレで放送されることが決まり、深夜ではあったが興味本位で視聴したのだが、これがまた実に面白かった。鋭い視線で社会の闇にメスを入れており、介護施設の実態が明るみにされていく。
先進国であれば、多かれ少なかれどの国も高齢化社会という問題を抱えているのだろうとぼんやりながら思っていたが、本作を観たことで、日本だけじゃなくどの国も、老いの第一線である介護の現場は似たり寄ったりの現状なのだと感じた。
しばし、目をつむりたくなるような描写も出てくる。現場の実態はこんななのかと不安になる。
社会性溢れるメッセージもさることながら、観ていると自身とも向き合うことになる。「自分は、ああはなりたくない」。残酷だが、その言葉が自分の心の奥底でこだまする。「老いを楽しむ」なんて嘘っぱちだと嫌な自分が顔を出す。
それでも、この作品の最大の良さは、あくまでも老人たちの一つの物語にスポットを当て続け、その人物の描写に作者の暖かい目線が向けられていたことによる。そして、アニメ作品だったからこそ良い意味で重過ぎず、かつ、しっかりと心に響いたのではないだろうか。
エミリオとミゲルの友情には素直に感動でき、観終わった後には穏やかな気持ちになれる作品だった。是非とも、もっと多くの人が観れるように機会を設けてもらいたいものだ。
[PR]
by komei115 | 2013-04-19 21:28 | Movie