青い果実の実る頃には

komei115.exblog.jp

項目に分けて日々思ったこと、書きたいことを自由に書いてます。意見、批判するコメントは大歓迎です。個人的な問い合わせはこちらまで。koumeipart115@yahoo.co.jp

ブログトップ

<   2012年 01月 ( 34 )   > この月の画像一覧

2012年1月21日。グラフィックデザイナーであり、アートディレクターであった石岡瑛子さんが膵臓がんのためにこの世を去られた。73歳であった。ご冥福お祈りいたします。

b0215567_20592062.jpg



ニュースの速報を目にした時は驚いた。以前テレビで観た時は病気など感じられない元気そうな姿だったからだ。
私が石岡さんを正確に認知したのは丁度一年前のこと。NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組である。その時、彼女のプロとしての生き方にはとても感銘を受けたのを今でも覚えている。
正直、あまり作品を知りもしない私が、このようなブログで紹介してもよいものだろうかと控えていたが、先日NHKでアンコール放送があり、懐かしい気持ちで観ていて思った。私が彼女のメッセージに少なからず影響を受けていたことは事実であり、それを書きとどめておきたいと。
その衝動には勝てなかった。間違っていたら申し訳ない。

石岡さんは東京芸術大学卒業後、資生堂に入社し、その後独立した。パルコ、角川書店の斬新な広告で彼女は有名になった。角川の方はなんとなく覚えている。確か「旅に出たくなる本」というようなタイトルで果てしなく続く砂漠のど真ん中に人が立っているものだったともう。
私が知っているのはマイルス・デイヴィスのアルバムジャケット。
b0215567_22164360.jpg

ちなみにこの作品でグラミー賞に輝いている。
傍から見れば幸せな人生を歩んでいたように見えた彼女だったが、仕事に対する飛躍、さらなる高みを目指すという欲望が抑えきれなくなった彼女は、日本の枠だけでは満足できなくなる。
そこで、40歳を過ぎてからの渡米。ツテもない、まさにゼロからの出発だった。一年暮らし、ニューヨークのとある映画館で黒澤明の「七人の侍」を観た時、アメリカ人の時代も国境も超えた賛辞の声を聞き、これが「ホンモノ」だと感じた。巨匠、黒澤の様にいつまでも人の記憶に残り続けるような作品を作りたいと思った彼女は、新しく舞い込んでくる様々な仕事にチャレンジし、1992年、映画「ドラキュラ」でアカデミー衣裳デザイン賞を獲得するまでに至った。その後も数々の賞を受賞。記憶に新しいのは北京オリンピックの開幕式の総衣装デザインか。
今回の番組内では舞台「スパイダーマン」の全衣装のデザインの総指揮を担当していた。大国アメリカでも通用し、指揮を振るえるほどの実力と意識レベルは、その道のプロを超え、もはや巨匠の域に達している。
彼女は作品の創造にあたって自分には三つの柱があると言う。
・orijinal→だれにもまねできない
・revolutionary→革命的
・timeless→時代を超える
その三つの柱をもとに描かれたデザインはどれも私たちには発想できない唯一無二の作品だ。「全てのデザインには意味がある」という彼女は、何げない風景の色彩や美術品などの形一つとっても全て取りこぼさずに見ていたのだろう。
デザインを考え、いざ衣装作りに移る時でも、彼女には一切の妥協、甘えはない。ほんの1ミリの違いでも彼女は指摘し、直す。たかが1ミリ。だが、そこに気付く者がプロであり、「ホンモノ」に近づく。その1ミリが世界を変えるのだ。また、きちんとしたミクロの仕事は全体の仕事の質を上げると彼女は言う。
最後に彼女は「プロフェッショナルとは?」という問いに応える。
「与えられた仕事をこなし、さらにもっと高みを目指す。そのためには自分のすべてを燃やし尽くす」
この言葉を聞いて、体の芯から震えた。金槌で頭を殴られたような感覚。
忘れてはならない大切な言葉。そう思った。
[PR]
by komei115 | 2012-01-31 22:58 | Character

ネタバレなし

b0215567_20483548.jpg



太田光の世界観、哲学、人間性が詰まったSF巨編小説。

More
[PR]
by komei115 | 2012-01-30 23:22 | Reading&Music

ネタバレ注意!


b0215567_17504867.jpg



いよいよ3作目となったALWAYS。さあ、今回も三丁目の住民たちに会いに行こう。

More
[PR]
by komei115 | 2012-01-29 03:20 | Movie
 自分の存在が外界に対して認められているのか。そもそも、外界に自分が存在しているのか。それすらも疑うほどの疎外感。
 幹斗は、物心がついた頃から家族に対して常に感じていた。特に食事時の家族団欒は一層不安を掻き立たせられる。憂鬱でしかなかった。
 高津家の日常の食卓。それは、実秋が自分の学校であった出来事を面白おかしく話すところから始まる。両親は、実秋の話に興味を持って耳を傾け、そして嬉しそうに顔を綻ばせ、よく笑った。ひとしきり話し終わると、今度は父清一郎に今日の仕事の内容について聞き出す。清一郎は話を振られると嬉しそうに今年の葡萄の出来、ジベレリン処理の話、新たな葡萄ビジネスなどを話した。良い具合に酒の酔いも回り、いつもの強面な顔が綻び、赤ら顔で饒舌に話を始める。
 これは、葡萄栽培におけるジベレリン処理の話をしていた日のこと。
 「いいか、ジベ処理っていうのはとても大事な作業なんだぞ。葡萄の花が開花する20日前と12日後の2回に分けて処理をするんだ。まず、ジベの液体を紙コップ一杯に入れてだな。その中に葡萄を一房ずつ浸して行くんだ。大変な作業なんだが、それをすることで房が伸びて玉割れが起きないんだ。それまでブドウは食べにくいと言われていたんだがな…そう、忘れもしない、昭和32年。ジベレリンの研究が始まったんだ」
 清一郎は、捲し立てるような調子で言うと、グラスに半分ほど入った酒をグイッと一気に呷り、喉を潤わせた。一息吐いて、ゆっくりと続ける。
 「…しかし、意外なもんでな。初めは房を伸ばす目的でジベ処理研究は進んだんだ、が…思わぬ収穫があったんだよ」
 「種が消えたんでしょ。昭和34年、種無し葡萄の誕生」と実秋。
 「そう!そうなんだよ。よく知っているな、実秋は」
 「その話は前に一度聞いたよ、お父さん」
 「そうだったか?」
 「うん。ところで、今デラウェアより大房葡萄の方が人気あるよね。うちも巨峰みたいな大房葡萄に変えないの?」
 「甲州といえば甲州葡萄とデラウェアだ。特にデラウェアは、山梨の、そしてこの勝沼町の誇りだ。そう易々と変えたりはせんよ。実だって、デラウェアの方が小粒で俺はおいしいと思ってる。ワイン作りにも向いているしな。新しい品種を生み出すのはロマンがあって面白いが、あまり目移りせずに、実秋には日本一のデラウェアを作り続けてもらいたいものだな」
 といったやり取りが二人の中で行われた。そのやり取りの中には誰も入ることは許されない雰囲気である。
 実秋は、父の口から紡ぎだされる言葉を真剣に聞き、まるで、食べ物を咀嚼して栄養へと変えるかのように自分の中に言葉を取り込み、記憶した。そして自分でも色んな農業関係の本を読んで研究しているらしく、清一郎の話に被せて自分もここぞとばかりに発言する。実秋の意見を聞く清一郎は、満足そうに微笑むと「実秋なら将来俺の跡を継がせても問題ないな」「実秋なら俺と同じ東京の農大に行ける」といつも実秋を褒めた。
 そんな二人のやり取りを、いつも母晶子は笑顔で嬉しそうに見つめている。
 幹斗は話について行くことも、話の腰を折ることも、だれに助けを求めることもできず、ただ目の前に出された料理を黙々と食べた。味などわかったものではない、もはや消費するだけである。早くこの食事が、団欒が終われと願ってその消費行為に専念するしかなかった。
 家族の中で自分だけが蚊帳の外。
 自分だけが空気のような存在。
 自分だけ。
 自分だけ・・・。
 この不安は、粘着性のアメーバのごとく幼い幹斗の心に張り付き、纏わりついた。。そして、ドロドロと、黒く心が汚染されていくかのように兄実秋に対する劣等感は年々増していった。
[PR]
by komei115 | 2012-01-28 23:17

日日是思慮 その23

robot(ロボット)。チェコスロバキアの作家チャペックが戯曲「人造人間」中で用いたことで生まれた言葉。コンピューター操作によって自動的に動く装置、機械を指す。人間によって製造された彼らの中には電池はあっても心というものはない▼実家に全自動掃除機「ルンバ」がある。祖父母の二人暮らしでは重宝すると思っていた。しかし、実際に見てみると、掃除機なのにその本体が埃を被っていた。本末転倒である。何か月使っていないのだろうか、私はあまりの滑稽さに一人で笑ってしまった。充電してやり、本体を拭いてあげる。そして、起動させると軽快な起動音とともに、くるくる回ったり、反復運動したり、壁に沿って隅を掃いてゴミを吸ったりとさまざまなバリエーションを見せる。なかなか優秀ではないか。宝の持ち腐れと思うが、自宅は狭いので持って帰るにも抵抗がある▼しかしながら、勝手にゴミを吸いながら部屋を走り回る姿は愛らしい。何をするのか目が離せなくなり、絨毯などに引っかかったりすると「こらこらっ」と話しかけながら慌てて救い出そうとするが、彼は私の気持ちなどお構いなしで回転し、自力で脱出する。その姿にまた「ほう」と感心する▼しかし、ふと考える。この感情はいったい何なのであろうか。心がないロボットに向かって話しかけ、行動を微笑ましく見守る自分の感情。よく、「モノにも心が宿る」というが、動くロボットにはそれを顕著に感じる。この感覚は私だけではないはずだ。最近驚いたのは、ある映画で惑星探査機「はやぶさ」がしゃべりだすということ。アニメやゲームもそうだ。二次元の異性に恋をしてしまったオタクが急増するという社会現象も起きている▼「こういう風であってほしい」と願いを込めて人はモノを擬人化する。人間ならではの感情かと思うが、おもちゃやぬいぐるみに求愛行動をとってしまうインコやウサギを見ていると、どうやら動物規模で起こる感情のようだ。そう考えると、生物と無生物の境界線って実はすごく曖昧なものなのかもしれないと感じる▼鉄腕アトムやドラえもん。もし未来において彼らみたいな自分で考え、自分で行動するようなロボットが誕生することになったら、その境界線の垣根はますます曖昧なものになるだろう。その時は、人間>ロボット、あるいは人間<ロボットとなるのか。私は、人間≒ロボットで共存していく世界であってほしい。
[PR]
by komei115 | 2012-01-27 22:45 | Column
ネタバレあり!

b0215567_20595512.jpg



幸せを掴むために必死で生きる、父子の関係を超えた師弟の愛の物語

More
[PR]
by komei115 | 2012-01-26 19:39 | Movie

ネタバレなし

b0215567_11115683.jpg



夢と向き合うことで、現実をsurviveすることができる

More
[PR]
by komei115 | 2012-01-25 22:08 | Movie

日日是思慮 その22

法は弱者を守るため、争いごとをスムーズに解決するために存在する。日本国憲法によって、これまで民事、刑事、行政の分野でいくつもの法律が制定されてきた。これからも、未知の問題が起こるたびにその都度新しい法律の制定、古い法律の改変、削除がされていくことだろう。弱者の救済のためには必要不可欠なもの。しかし、条文の文言は色んな解釈ができる(だから条文解釈が必要となり、判例、学説が大変重要となるわけだが)ものの、いわばマニュアルである。利用する者の扱い方次第で、血も涙もない武器へと姿を変える▼震災から10ヶ月以上が経つが、未だに東電の被害者賠償が進んでいない。特に、事故によって住処を奪われ、避難を余儀なくされた人たちに対する賠償。これは、住民たちが今後どこの土地で暮らしていこうかという決断を遅らせる深刻な問題である。また、おかしな賠償額の算定法が浮き彫りになった。新たに仕事に就き、収入が出た人に対しては、収入分を元来の賠償額から差し引くというものだ。これでは、働けば働くほど損をしてしまうことになる。早期の生活復興のための仕事なのに。何かがおかしい。原因は、従来の交通事故と同じ枠組みで賠償額を算定しており、国が出した最低限度の指針に忠実に東電が動いているからだ。政府が決めたことだからと、東電のその姿勢は、堂々を通り越して踏ん反り返っている▼去年の話だが、12月16日、長崎県西海市でストーカーによる殺人事件が起きた。ストーカー被害を警察に相談していたのに、家族2人が殺害された。「『黙って殺されろ』と(警察から)言われたのと同じ」。遺族は、警察への不信を訴えている。ストーカー規制法ができるきっかけとなった桶川ストーカー事件(埼玉県、1999年)などへの反省から、警察は「変わった」はずではなかったのか。警察の無様な対応には遺憾を通り越して呆れてしまう。何のための警察だ。国民の信用はもはや地に落ちている▼法があるからと言ってそれにおんぶに抱っこではいけない。血の通える法律を制定するのはもちろん大事だが、法を扱う者、多く法に触れる者が血を注ぐことが重要である(知らないのは論外である。警察官の中でどれほどの人間が刑事、刑事訴訟法を知っているのか。お聞きしてみたいものだ)。決してマニュアルに沿った事務的な作業をするのではなく、法律を駆使して未然の事件・争いを防ぐ。争いが起こったら、弱者に納得のいくような迅速な手続・手厚い保障を設ける。こういった“血の通った法”に築いていくことが、今後の法を司る者の課題ではないだろうか。
[PR]
by komei115 | 2012-01-24 21:37 | Column

日日是思慮 その21

国柄という言葉がある。その国が成り立った頃から本来備えている性格・性質であったり、または風習、文化の空気で薫陶された特色という意味だ。同じ人間でも、地理や歴史、現在形成されている社会情勢の違いによって価値観は大きく異なる。いくら言語を学び、その土地に住んだとしても、人種、民・血族間の違いという意味での差別があったり、根幹の部分で分かり合えない部分が多いのは仕方のないことだと思う▼しかし、人命の危険という規模にまで問題が発展したとき、人々は国に関係なく世界規模で手を取り合える。特に、インターネットを中心に爆発的に進んだ国際化により、人の尊厳、道徳、宗教や文化の違いなど、外国を意識し相互理解、歩み寄りがしやすくなった今日においては、国同士が議論を重ねて解決に導いていけると信じている▼イランの核開発阻止による各国の動きが注目されている。経済制裁を進める米はホルムズ海峡に原子力空母を停滞させ、場合によっては軍事的圧力をかけることも示唆している。23日、ブリュッセルにおいてEUはイラン産原油の禁輸措置を決めた。露、中は対話による解決が重要だとし、アメリカの政策には同意しない対応を取った。それぞれの国が独自のお国柄を見せている▼さて、日本はどうだろうか。アメリカに言われた通り、経済制裁に同意した。いわゆる、「長い物には巻かれろ」である。しかし、原油輸入の10%がイランである。一度は賛同したものの、どうやら雲行きが怪しい。特別的な輸入を一部認めてほしいとアメリカに頼み込んでいるようだ。どっちつかずの中途半端な発言を繰り返す日本。主導権、先導してやる気持ちなどさらさらない。強者に媚びながらも不利益はなるべく避けようとする姿勢。これが日本のお国柄だというとなんとも情けない▼忘れたか。原発も核だということを。核の平和利用として原発を推し進めていった結果福島第一原発事故という悲惨な状況に現在陥っているのではないのか。忘れたか。広島、長崎と核ミサイルを二発も落とされた唯一の被爆国であり、未だに原爆病に苦しむ国民が、そしてその子孫の2世、3世がいるということを。▼核の恐ろしさを十二分にわかっていて、平和を謳っている日本がどうしてこの問題にはっきりと発言・姿勢をとらないのだ。経済制裁でも、対話の道でもよい。その結果多少の不利益を被ったとしても、日本が望む解決策を世界に主張することが、今現在必要なことではないだろうか。自国では脱原発反原発と騒いでいるが、私たちが本当に核と決別するのであれば、自国だけでなく他国にも目を向けなければならない。
[PR]
by komei115 | 2012-01-23 22:31 | Column
ネタバレあり!

b0215567_20255125.jpg


未だかつてこのようなSFがあっただろうか。巧妙で緻密、そして、ただただ美しい時の断片に圧倒されることは間違いないだろう。

More
[PR]
by komei115 | 2012-01-22 21:55 | Movie