青い果実の実る頃には

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日日是思慮 その39

【灯台下暗し】とはいうものの、本当に大事なことに気付くには一旦離れてみないとわからない。離れて考え、そして気付いた時、それはその人にとって初めて真に「切」なるものになる。親切、哀切、適切、懇切、痛切、大切。だが最近、そのどれもが疑わしい「切」となって社会に蔓延ているような気がしてならない▼電車内、満員で苦しいのに優先席だけぽっかり空いていることがある。でかでかと窓に「優先席。おゆずり下さい」と命令形で書かれ、シートも近くの吊皮も他とは異なる色をしてアピールしている。都会に出てきたときに「優先席に乗ると白い目で見られるよ」と言われたことを思い出す▼都会ではエスカレーターは右側を必ず開けておく。急いで上り下りする人用らしい。みんな文句も言わず詰めてまで左側へと移り、右側にいると後ろの人に舌打ちをされる。しかし、実はエスカレーター上で歩くことが危険であり非常識だということをみんなは忘れている▼エレベーターもそう。車椅子優先などと書かれ、駅などの公共の場では利用する気になりづらい。「開」の他に、「閉」まであって人が乗ろうとしているのに急いで閉めようとする者がいる▼現代社会、特に諸外国と比較して日本社会は「切」にマナー、ビジネスを混合させた変な「切」の価値観を生み出し、強要させている。これら述べてきたことは実は他人に対する配慮、親切なんかではない。自分が他人から文句を言われない、嫌な奴だと思われない「自分」を起点とした疑わしい「切」だ。周りを見ようとせず、自分に危害が及ばなければそれでよいと無意識に考えているのだ▼社会のシステムに甘んじて身を投じていると、考える力や洞察力を失ってしまいかねない。社会が強要する偽りの「切」からいったん離れてみてはどうだろう。優先席など利用すれば、逆に見えてくるモノもきっとあるはずだ。優先席を利用したがっている高齢者や要介助者の姿。困っている人を見て何か手助けをしたいと思う気持ち。他人の理想を押し付けられない自分の姿。それらは生きていく上で真に「切」なことだろう。
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by komei115 | 2012-03-31 21:42 | Column
生まれて初めて親に罵声を浴びせ、胸ぐらを掴まれ、そして思い切り殴られた。
シャツの胸元の釦が二個引きちぎれ、残された糸が弱々しく縮れて伸びている。釦は何処に行ったのか、もう分からなかった。
幹斗は、震えながらもゆっくり起き上がると、無言で座敷を去ろうとした。ふらふらと歩いていると、鼻の奥からも熱を持った鮮血が垂れ、真っ白なシャツに赤い斑点が染みて滲んでいく。
背後から肩を怒らせたままの父が、
「出ていけ」
とだけ告げた。わかりきった言葉のはずなのに、父の放ったその一言はやけに現実味を帯びて突き刺さった。母は口元に手を押さえ、嗚咽を漏らしながら大粒の涙を流していた。
幹斗は何も言わずに座敷を後にした。そして、二階の自室に戻ると故郷を去る準備を黙々と始める。血を流しながら、涙を流しながら。
急げ!急げ‼こんな町、一秒でも早く出て行ってやるんだ。さあ、早く‼
暫くして鼻血は止まったが、段々と顔の左側に熱が籠ってくる。頬が腫れ、左の視界が少し狭くなった気がする。口を動かすたびに上下の歯の間に内側の肉が挟まり、噛まないようにするのが大変だった。
必要最低限の物をバッグに詰め、トレーナーとジーパンに着替えると、部屋を見回した。二段ベッド、二つの学習机、本棚。18年もいたのに、何にもない部屋だと思った。
久しぶりに実秋の机の引出しを開けてみる。奥の方に真鍮の懐中時計があった。懐かしさに心臓が大きく音を打つ。
蓋はとれ、画面は削れたキズがついていて見づらくなっていた。
動いてない時計。動かなくなった時計。手にとって、ネジを回してみたが駄目だった。持ち主にしか動かせないのだろうか。
幹斗はポケットの中に懐中時計を忍ばせた。
部屋を出て、階段を駆け降り、スニーカーを引っ掛けて外に出た。
雨がぽつぽつと降り始めていた。しかし、気にせず駆けて行く。耳の中では雨の音がいつまでも消えない。
振り返ることはなかった。転びそうになりながら、逃げるように、逃れるように、ただひたすら走った。


まさか、またここに来ることになるなんてな。二度と戻ることはないと思っていたのに・・・
幹斗は記憶の旅をしながら、気付けば自分の左頬を摩っていた。一週間も腫れが引かなかったのに、今では完全に治り、いつの間にかザラザラと濃い不精髭まで生えるようになっている自分の頬に歳月を感じた。
ふと縁側の方を見つめる。すると、驚きのあまり息を呑んだ。窓は今もあの時のまま、蜘蛛の巣のような、葉脈のような罅が入ったままの状態だった。
なぜ買い替えてないのだろうか。
立ち上がり、近寄って窓にそっと手を触れてみる。柔らかく、脆く、痛々しく。強く押したら音を立てて割れてしまいそうな感触は、自分と同じような気がする。
足元では、15年前の幹斗が今も床に蹲っていた。
「あなた、食事の用意が出来たわよ」
幸恵が台所から顔を覗かせる。
「・・・ああ」
「その窓の罅、あなたが付けたの?」
「まあ、そんなところかな」
座敷を離れリビングの一席に腰を下ろした。テーブルの中央には笊が置いてあり、その上にほうとうが瑞々しく、艶やかに盛られている。手元の椀の中には大根や白菜、南瓜、長葱、椎茸などの具材が犇めき合って熱い汁に浸かっていた。そこから立ち昇る湯気は豊かな香りを放ち、腹の虫が鳴いて応えた。
「夏に食べるほうとうもあったんだね。『おざら』って言うんでしょ?私、知らなかったよ。何だかつけ麺みたいだね」
料理の後片付けをしながら幸恵が笑って話した。
幹斗は、箸でほうとうを掬って椀の中に落とし、いい按配になった温かい汁を頬張った。
それは、変わることのない懐かしい味だった。一体いつ母に作り方を習ったのだろうか。
片付けを終えた幸恵が対面の席に座り、幹斗の食べる姿を微笑んで見ていた。目が合うと、「美味しい?」と悪戯っぽく茶目っ気を含んだ笑顔で聞いてくる。幹斗は照れを隠しながら、憮然とした態度で返事をした。
その時、玄関のチャイムの音が鳴った。
「はーい」
幸恵は立ち上がり、エプロンを外しながら、
「きっと雅也さんね」
と言って嬉しそうに玄関へと向う。幹斗も食べるのを中断して彼女の後を追った。
「今タオル持って来ますから」
そう告げて目の前を横切る幸恵を見てから、玄関の方へと目を向ける。そこには、雨でひどく濡れた雅也の姿があった。
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by komei115 | 2012-03-30 22:01
それは卒業式の日のことだった。昼を過ぎ、どんよりと濁った灰色をした雨雲の層が厚みを帯びてきていた。
幹斗は、早めに同級生達と別れを告げると、残っていた自分の荷物と卒業証書、卒業アルバム、粗品の入った紙袋を持って家路を急いだ。すると、玄関先で父が腕を組んで幹斗の帰りを待っており、家に着くなり呼び出された。
ひょっとすると、今日くらいは三人で卒業のお祝いをしてくれるのかもしれない。もし、それで「おめでとう!」と笑顔で言われでもしたら、どう対応しよう
まさかとは思いながらも、今までなかった父の対応に心のどこかで両親に期待していた。
座敷に座らされると、父は剣幕な表情を浮かべ、テーブルに何かを放った。母は部屋の隅の方で正座をし、伏し目がちに畳のどこか一点を見つめている。
「これは何だ?」
それは、入学手続きが無事に完了したことを知らせるH大学からの封筒、K大学、T大学の合格通知などの書類の束だった。
「何で・・・これを?」
「つべこべ言うな。聞いているのは俺の方だ。どうして親に黙って勝手に手続きなんかしたんだ?そして何だこれは?文学部?文学部なんかに入ってお前は一体何をするつもりなんだ?担任に電話したらお前、国立の試験受けてすらなかったそうじゃないか。「ご存知なかったんですか?」って逆に驚かれてどれだけ恥ずかしかったか・・・。お前にわかるか?一体どういうことなのか説明しろ!」
話すうちに、怒りが込み上げてきたのか、話し終わると同時にテーブルを平手で叩いた。大きな音と振動で散らばった書類が震える。
今まで想像していた自分が馬鹿みたいだった。密かに膨らんでいた期待がみる影もなく萎み、表情が凍っていくのがわかった。
「俺、その大学に行くから。もう、決めたから。金なら自分一人でどうにかするし、父さんや母さんには一切迷惑かけないんだからいいだろ」
「何を根拠にそんな馬鹿なことを。お前は俺との約束を忘れたのか?国立の農学部か、それがダメならここで働くかのどちらかしかないって。・・・私大になんか行かせないぞ。ましてや農学以外なんてもっての外だ。何の役にも立たん。入学辞退しろ。お前にする気がなくとも俺の方で辞退しといてやる」
「やめろよ!俺はそんな約束なんかしてない。父さんが一人で勝手に言ってたことだろ。それより・・・」
幹斗は母を睨んだ。
「この書類、勝手に人の部屋から持ち出したの・・・母さんだろ?」
母は黙って俯いたままだった。太ももの上に置かれた両の手がキュッと握り合うのが見えた。
みんな勝手だ
その時、どこか遠くの方で音が鳴った。
幹斗は徐に息を吸った。息が肺に流れ込むだけ自分の中の別の何かが膨張し、その分自分が自分でなくなっていくようだった。そして、ある点まで達した時、目が見開かれると同時に、溜まっていた何かが呼気に乗って幹斗の口をこじ開ける。
「何も言えないくせに勝手に人のやること詮索してんじゃねーよ‼」
幹斗は目の前にある書類を一部掴むとそのまま母に向かって思い切り投げつけた。
書類は、大きな音を立てて母の額や腕に当たっては散らばった。
父は驚き、戸惑った顔を浮かべて叫ぶ。
「自分の母親に向かってなんてことするんだ!」
初めて見せる無意識の言動と行動に自分でも驚いた。一気に熱を持った自分の身体から湯気が溢れて沸き立つような感覚を受ける。
「・・・もういいよ。あんた達には初めから何も期待しちゃいないんだ。何も。もう、俺、勝手にやるから」
立ち昇る湯気は、段々と死灰のように黒ずみ、内から外へと溢れ出てくる。衝動は、もう止めることなどできなかった。
幹斗は興奮を抑えるために、一呼吸入れると、ニヒルな笑みを浮かべた。
「あんたらさ・・・俺のこと、憎んでんだろ?あの時からずっと。ずうーっとさ!なんたってあんたらが大事に大事に育ててきたみんなの期待の星の兄貴を殺した張本人だからな、俺は。
なあ、憎いんだろ。本当は俺が死ねば良かったと思ってんだろ!はっきり言えよ。「お前は実秋に比べて才能も可愛げもない」って。「お前は自分達の言うことも聞かないクズだ」って。なあ、はっきり言ってくれよ!「お前なんかイラナイ」って‼」
その瞬間、何かが起こった。それが刹那のような時間だったのか、永遠のような時間だったのか、はっきりはしない。
気が付いた時は縁側の床の上に蹲っていた。
午前中に差し込んだ日差しで微かに温もった床が妙に柔らかく感じられた。窓には蜘蛛の巣のような罅が入り、ミシミシと音を立てて静かに震えている。窓の外では雀がしきりに囀り、暫くして何処かに飛んでいった。
口の中は切れ、鉄の味が拡がり、左頬から顎にかけての感覚はなかったが、あまり痛いとは思わなかった。その痛みよりも、胸の奥の方が鈍く痛んだ。
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by komei115 | 2012-03-29 20:23
その一言に背中を押された。身体の奥から奮い立った気がした。
覚悟を決めるんだ。俺には最高の後ろ盾がついていてくれてるんじゃないか
もう遠慮の気持ちはなかった。
「ありがとう、雅兄。俺・・・大学行きたい!大学行って小説のこともっと頑張ってみたい。自分の可能性に賭けてみたいんだ。迷惑かけるし、もしかしたら別の方向になっちゃうかもしれないけど、応援していて欲しい。お願いします」
「おお、よく言った。でも、やってもいないのに別の方向性なんかだして弱気になるなよ。今はひたすら思ってることに挑戦してみろ」
「そうだね、ごめん」
「期待してるからな。頑張れ」
「うん。なんだかやる気になってきたよ。・・・俺、大阪の大学受けてみようかな。できれば雅兄の近くにいたいしさ、雅兄も何かと手間省けるでしょ?」
「そうだなー・・・」
雅也はしばらく考えを巡らせ、コーヒーのおかわりを注文した。
突然、「カキンッ」と白球を打つ鋭い快音がテレビから響き、続いて観客の歓声の沸く音が流れる。店内にいる客とマスターがテレビに注目し、球の行く末を見守った。
打球はセンターへとぐんぐん伸び、快晴の青空のもとに聳えるスコアボードを叩いた。意外な結末に、解説の実況は熱を入れて叫んでいる。7番打者による逆転サヨナラ2ランだった。
「野球ってさ、最後の最後まで結果がわからないから楽しいよな。Jリーグが始まって二年くらい経ってサッカーブームが沸いているけど、俺は野球の方が好きだな。特に高校野球」
「うん、俺も好きだよ。小学生の時、一緒にタッチ見てたよね。キャッチボールなんかもよくしていたし。三人でさ」
「ああ。懐かしいな・・・」
雅也はあの頃を思い出すように遠くを見ていた。
兄弟って難しい。どうしても家族や他人からの期待と愛情を奪い合ってしまう。秋兄がいなくなって悲しかったけど、正直ホッとした部分もあった。 出来の悪い兄が、出来が良かった死んだ弟に代わって甲子園を目指してマウンドに立つ物語か。俺にはそんな大それたこと出来ない・・・
「あのさー、さっき言ってたこと。考えたんだけど、お前は東京に行けよ」
「えっ、なんで?」
「刺激を求めて、一番環境が良く、それでいて勝負し甲斐があるのはやっぱり東京が一番だと思う。バブルがはじけたの不景気だのと言ったって日本の中心には変わりないんだし。後・・・まあ・・・そうだな。お前は一旦一人になってじっくりいろんな事を考える必要もあるんじゃないかな。俺の近くにいるとどこかで甘えちゃうだろ?自立というか、離れてみて初めて見えてくるものがあると思うんだよ、きっと。だから東京。東京で頑張ってみろよ」
大阪行きを賛成してくれなかったのは寂しかったが、自分のことを誰よりも考えてくれている雅也の言葉が嬉しく、東京に行くことを決めた。
高校最後の夏が終わり、勝沼に戻ってからは、大学受験に向けてただひたすらに勉強に打ち込んだ。秋が去り、冬を迎え、北風吹き荒れる中、親に内緒で東京の文学部で有名な私大を2、3受け、第一希望のH大の合格を果たすことができた。
国立の共通一次の試験日が近づくと、父から「勉強は進んでいるか?」「ちゃんと勉強するんだぞ」などと小言を言われることが増えたが、適当に返事をし、試験は受けなかった。
早めに手続きを済ませ、雅也が保証人の下で三ノ輪近辺に部屋を借りた。
雅也はその年に起こった阪神淡路大震災に被災し、慌てた日々を過ごしていたにも関わらず、東京まで出てきて家具や電化製品の買い物を手伝ってくれた。
全てのことが順調に行っているように見えた。トウキョーは、寒空を跳ね返すような人の活気と、輝くネオンの熱に満ちている。空気は濁り、霞んでいても、そこに溢れ出す潤いを感じた。
この場所は俺に可能性を、未来を与えてくれる。大丈夫、きっと上手くやれる
三月に入った。目覚ましい春の足音はまだ聞こえないが、風が少し春味を帯びた気がする。
新たなスタートに向け、風薫る時間とともにようやく走り出せそうな気がした。
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by komei115 | 2012-03-29 02:31
やられちまつた悲しみに
今日もパソコン動かない
壊れちまつた悲しみに
今日からスマフォでちまちま操作

やられちまつた悲しみは
たとへば路上のチューインガム
壊れちまつた悲しみは
埃のかぶつて忘れゆく

やられちまつた悲しみは
なに期待するなく怒りなく
壊れちまつた悲しみは
放心のうちに死を悟る

やられちまつた悲しみに
泣きて取らぬ狸の皮算用
壊れちまつた悲しみに
ダラダラと日ばかり暮れゆく……

A.チューヤン


昨日、いきなりパソコンが不調に。信頼できそうな修理屋に頼むと一週間はかかるみたいだ。いたらん出費がかさむ。
失った瞬間、パソコンが生活の基盤だったことを改めて気付かされる。
安全なセキュリティソフトをケチって更新しなかった自分が情けない。反省。どうかデータだけは無事でありますように。
この際、ネット依存を治そうかと思う。ただ、ネットでしかわからない情報は多く、さらにファイルのインストールや印刷が出来なくなったのが困る。ブログの更新にもスマフォでは時間がかかる。
さて、治るまでどうしようか…。
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by komei115 | 2012-03-28 13:17 | Miscellany

日日是思慮 その38

【義を見てせざるは勇無きなり】という言葉がある。論語にある言葉で、意味としては(人として当然行うべきことと知りながら、それを実行しないのは勇気がないからである)ということだ。では行動に移させる勇気とは何なのだろうか▼勇気の代名詞はヒーローにつきものだ。だが、彼らは当然のことをやっているだけなのだ。ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊ヒーローは自分たちにできる当然のことを疑うことなく当然にやるから、明快でカッコいい。今なお子どもたちに勇気を与える存在として人気だ▼今ではご当地ヒーローなる者も活躍している。沖縄の「琉神マブヤー」、秋田の「超神ネイガー」。彼らは地元の子どもたちを悪の手から救うのだが、かといってやみくもに悪を滅ぼすのではなく、悪を知った上で闘い、敵の中に潜む悪を取り除く。昔のヒーローのさらに上の次元で戦っている▼大人は子どもたちを、子どもたちの未来を守れるヒーローになれるのか。12月10日から始まった東京都の原発住民票署名集めが先日終了したという記事が地域欄に小さく載っていた。結果は都知事に条例の制定を求めるための有権者の50分の1である21万4206人を超え34万人に上った。無事に達成できたが、喜んではいられない。あれだけの大問題になりながら都に住む有権者の50人に1人しか行動できてない、ほぼ無関心である状況に同じ有権者として情けない。メディアもメディアだ。あれだけ原発の是非を問うてきたはずなのに、国民一部の行動を大々的に報じようともしない。原発の是非を国民一人一人が考えて決めようというだけなのに、なぜこうも広げようとしないのだ▼何が正しくて、何が悪いのかはわからない。正解、不正解はない。それでも、自分を信じて誰かを守るために行動する。それが勇気に繋がる。敵は相手ではなく、自分の中に潜む弱い心だ。ヒーローを求めるのではなく、個人一人一人が誰かのヒーローであることを願いたい。
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by komei115 | 2012-03-27 14:23 | Column
ネタばれ注意!

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快楽に溺れ、愛に飢える人間の果てにあるものは絶望という名の残りカスか

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by komei115 | 2012-03-26 21:32 | Movie
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既に知っている内容を読んで「読んだ気」になっているあなた。本当の「読書」を始めてみませんか。

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by komei115 | 2012-03-25 23:04 | Reading&Music

 そこから先のことを幹斗はよく覚えていない。思い出そうとしても頭の中のテープがそこだけ焼き切れ、不確かなフラッシュ映像が点在するだけである。
 彼の中ではっきりとした記憶が戻った時は、全てが真っ白な病室のベッドの上だった。右腕から伸びた透明なチューブは点滴器具へと繋がっていて、聞こえるはずのない液体の詰まったパックから滴り落ちる雫の音が、窓の外で降り続ける雨の音に混じって耳に響いた。横を向くと、目を醒ましたことに喜ぶもどこか顔に陰りのある看護師がいて、その隣ではすでに赤く腫れた目からまた涙を流して「ごめんな」と繰り返しす雅也がいた。父と母、そして兄の姿はそこにはなかった。
 実秋は別の病室で静かに眠っていた。病室は暗く、夏なのに凍える程冷えていて、その中で横たわる彼の心臓は動くのをやめていた。父や母は糸の切れた傀儡のように力なくパイプ椅子に凭れ、目はしきりにどこか遠くを見つめたまま泣くことすら忘れて呆けていた。この部屋の全てが止まっていた。
 そこに存在しなければならない者がいなくなった時、世界は動力源を失ったように停滞した。実秋の体から出た死灰で灰色に染まった町。乾いた町。淀んだ町。雨の音がいつまでも耳から離れない。部屋にある老朽した家具に似合わない真新しい仏壇。中央で白い歯を見せ笑っている写真の中の実秋。その姿よりも成長していく自分の身体。永遠に覚めぬ夢。悪夢。それでも時は経ち非日常は日常へと姿を変えていく。
 歯車が狂ったままの家族からは笑顔と雑談が消え、団欒を失った高津家に雅也が来る回数はめっきり減った。しかし、それでも幹斗とは変わらずに交流を続け、中学に入り、高校に入っても支えていた。そんな中、彼の母が過労で死んだ。両親がいなくなった彼は大阪の叔父夫婦の所に身を寄せることとなり、勝沼の地からいなくなった。頼れる者もいなくなった。
 それからの毎日は、得ることのない楽しい世界をノートに書くことと大阪の雅也に手紙と新しく書いた小説を送ること、そして相変わらず優しい言葉で綴られた雅也からの返事の手紙を何度も読み返すことだけが幹斗の生きがいとなった。高校に入ると親に内緒でバイトを始め、学校では勉強を、家では自室に籠って小説を書く日々。両親とはなるべく顔を合わせず、食事も時間をずらしてとるようになり、長期休みはバイトで貯めたお金で大阪に行き、雅也の住む家に転がり込んだ。
 受験が迫ると幹斗は就職か進学かで迷ったが、どっちにしろ山梨の地を離れたかった。
 「大学に入りたいのなら国立の農学部を受けろ。それか俺の下で働け。それしか認めん」
 それまでろくに話していなかった父から突然言われたその言葉の暴力、圧力には屈したくなかった。助け船を出さない母の黙っている態度が心底憎かった。
 高校三年の夏、大阪難波にある喫茶店で雅也に尋ねてみた。カウンター奥のグラス棚の一画に置かれた小さいブラウン管テレビの中では甲子園球場で高校球児たちが汗と声を枯らして熱闘を繰り広げている。
 「俺は選択する余裕もなかったな。働くしかないって思って卒業し、今こうして働いている。でもさ、俺は高校以上の学がないからさ。大学でいろんなこと学んで、新しい刺激をいっぱい受けたかったなって思うことがあるんだよ。おじさんの会社にも大学卒業の人が毎年来るんだけど、みんなそれぞれ面白い話をしてくれるのさ。それがとっても楽しそうで見ていて正直羨ましい」
 「雅兄も今からでも遅くないんじゃない?」
 「もう遅いよ。高校の内容ほとんど忘れちまったし、おじさんたちに面倒は掛けられない。何より高卒なのに今こうやって働かさせてもらっている恩があるからな」
 「雅兄は偉いね」
 「いやいや、そんなことはないよ。卒業まではやんちゃもしていたしな」
 雅也は笑いながら珈琲を啜ると、一つ咳を払った。
 「しかし、まあ、なんだ。そろそろそんな話が幹斗の口から出るんじゃないかなとは思っていた。だからはっきり言うよ。お前は大学に行け。それも自分が行きたいと思う大学に。お前は俺の進めなかった道を進んでくれ」
 「でも・・・。大学って金かかるしさ、国立入れるか分かんないし、それに」
 「いいさ、どこでも。金のことなら心配するな。俺が何とかしてやる」
 「え!?いや・・・雅兄には頼め」
 「お前には夢があるんだろ。小説家になりたいって夢が。あれだけおもしろい小説を何本も書いて俺に読ませてくれるんだからお前の夢はそうなんだよ、きっと。それなら、大学に行ってもっといろんな奴らと会って刺激を受けて、言葉を学べ。本を読むのが好きなんだから文学部なんかにでも入ってさ。そして何年かかっても良いからじっくり学んで夢を実現させろよ。おまえの夢が叶うのが、俺の夢なんだ。だから俺は前々からお前の大学費用を払うつもりでちゃんと貯めているんだから心配なんかするな」
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by komei115 | 2012-03-24 23:55

日日是思慮 その37

majority と minority を区別する日本語の言い回しは多い。「多勢に無勢」、「長いものには巻かれろ」、「弱肉強食」、「大は小を兼ねる」、「巧遅拙速」等々。日本ではいつの時代も「多」、「大」、「強」、「長」、「速」といった言葉は良いものとされてきた。しかし、それらは本当に良いことなのだろうか▼ majority の組織・団体の不祥事や問題は昔から後を絶たない。最近では、東電の原発事故から見えてきた様々な問題をはじめ、AIJ投資顧問による年金消失問題やオリンパスの粉飾決算、大王製紙前会長の特別背任罪、読売巨人の契約金問題など、あきれてしまうニュースが続いている。とても不透明で、不審な感情を拭いきれない▼ majority を優遇する社会は、人に「majority 側にいることこそ安全で安心。正しい思想である」という錯覚を起こさせる。そして、 majority が膨れ上がり、次第に自身の価値判断ができなくなってしまう。そうなると集団の中で、自分達を守るために「安全神話」なるものを作り、強い者への右に倣えでミスを隠し、傷のなめ合いをし始める者が出てくる。小さなミスや問題が影の中で大きくなってくる。結果どこかで襤褸が出て収拾のつかない事態となる。そういった集団は蓋を開ければただの烏合の衆と変わりがない▼だからといって逆の minority の方が正しいという訳ではない。しかし、政府や役人は弱者、少数に対しあまりにも無頓着である。ベンサムが提唱した最大幸福の実現を目指す功利主義という篩にかけ、落とされた者は自己責任だと手を差し伸べない。少数で声を荒げても、異端者と見なされ相手にされないことが多く、少数の思想を持ってしまった者への社会の対応は尽く冷たい。学校教員の「君が代」訴訟、労働・雇用問題の訴訟などは弱者側が明らかに不利だ▼思うに、多少、大小、強弱、長短、速遅のそれぞれに真実はあるが、そこには善も悪もない。善か悪かを決めるのは自身の五感である。特に「目」の役割は大きい。ミクロの視点とマクロの視点を持っていろんな角度から物事を見定める必要がある。決して社会の価値判断に左右された烏合の衆であってはならない。マスコミ、メディアなど情報に携わる者はまずこの姿勢を徹底させるべきであり、私たちは彼らが発信する様々な真実から取捨選択し、自分の中の真実を見出していくことが求められる。
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by komei115 | 2012-03-23 22:55 | Column