青い果実の実る頃には

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日日是好日 その7 屋久島での思い出 3

携帯のアラームが鳴り、無事に3時半に目を覚ますことができた。
早速登山の支度に取りかかる。
あまり寝た気がしない。少し興奮でハイになっているようだ。
目は覚めているのに体がダルい。
この二日間で計2時間半の睡眠しかとっていない私は果たして目的地に辿り着くことができるのだろうかと心配になる。
隣りで彼女も黙々と着替えを始めている。
今日は頑張ろう。私は山育ちなのだからこのくらいなんてことはない。
そう自分に言い聞かせて支度を整えた。


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朝食、昼食の弁当を受け取り、ホテルを出た私たちは安房のバス停へと向かった。
縄文杉登山の出発地点が荒川登山口である。レンタカーを借りていない私たちがそこに行くためにはまず屋久杉自然館駅へとバスで向かわなければならない。
まだ辺りは真っ暗で、都会では見ることができない程の星々が輝いていた。
空を見上げながら歩く。重たいバックパックとまだ履き慣れていないトレッキングシューズの歩き心地に戸惑いを感じながら。
安房バス停に着くと、すでに十数名が並んで待っていた。みんな思い思いに空を見上げている。
この人たちと一緒に登るのか。
心の中で「よろしくお願いします」と呟き、一緒にバスを待つ。
数分後、バスが来たのだが、その乗っている人の多さにびっくり。
すでに満席で、立ち乗りしている人もいる。
人混みが苦手な私だが、意を決しバスの中へ。色んな人のバックパックに体がぶつかる。隣りの彼女の顔を窺うとすでにグロッキー状態だ。
最悪の状態で、満員のバスが走り出す。
早く着いてくれることを祈りながらバスに揺られる。彼女の顔色がさらに悪くなっていく。
本当に大丈夫だろうか?
頑張れ!頑張れ!
登山口に辿り着いてすらいないのに、すでに心の中でエールを送る自分がいた。
こんな調子で登頂できるのだろうか。縄文杉を拝むことはできるのだろうか。
約10分後、屋久杉自然館に到着した。
すると、想像以上のものすごい人だかりができていた。ざっと200人はいたのではないか。
大型バスも4,5台並んでいる。ここから約40分かけて登山口まで行くのだ。
すぐに、荒川登山口行きのバスへと並び、5時に出発。彼女の体調の悪さだけが唯一の心配だった。

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バスは林道をどんどん進み、森の奥へ奥へと登っていく。
所々視界が開ける個所があり、そこから見える景色はまさに絶景だった。
日が昇り始め、少し明るくなった空はまるで海と溶け合っているかのよう。そこに朝焼けのオレンジ色の光が差し込んで一筋の線を描いていた。
隣りで眠っている彼女を起こそうとしたが、そっとしておいた。これから登山がはじまるのだ。今はしばしの間ぐっすり休んで体調を少しでも回復させてくれ。
一人で、ため息を漏らしながら外の景色を見続けた。

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ついに、荒川登山口へと辿り着いた。
人でごった返し、みんなそれぞれガイドの人をつけているようだ。10人くらいで束になって、準備運動をしたり、レクチャーを受けたりしている。
個人登山する人は少ないのかな。
まあ、でも何とかなるだろ。
そう思いながらガイドのレクチャーに耳を傾け、情報を聞き出す。
「先に軽くでもいいので朝食を食べておきましょう」
なるほど。先に食べておいた方がいいのか。
彼女に伝えようとしたら、彼女はすでにトイレに消えていた。
わお。
他の登山者が次々と出発し、残されたのは私たちを含め数人になっていた。
彼女が戻ってきて、ホテルで作ってもらった朝食を食べた。
私が1.7人前。彼女が0.3人前。
本当に大丈夫だろうか?
私の軽はずみなトークも体調の悪い彼女に取ったら癇に障るらしく、出発前に険悪なムードに。
登山箱に登山カードを書いて入れた。
項目に遭難した際の連絡先が載ってある。
遭難することもあるのか。
登山は遊びのようで遊びではない。常に危険が伴うのだ。一歩間違えれば死ぬことだってある。
笑っていても、へらへらはしていられない。
私は一気に顔を引き締める。
そして彼女を見る。その顔は青白い。
これで3度目だが本当に大丈夫だろうか?
彼女の顔色を窺いながら励ました。
彼女は自分自身の体調と戦い、私は二人をとりまく空気と戦った。


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これから長い長い道のりである。
午前7時。大分辺りが明るくなってきて、他の登山者はもう誰もいなかった。
私達は微妙な雰囲気のまま林の中へと足を踏み入れた。
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by komei115 | 2011-12-09 23:38 | Diary