青い果実の実る頃には

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日日是好日 その10 メタボリズムとインスタレーション

23/12/2011

この日はクリスマスイヴイヴ。正直どうでもよい日なのだが、好きな人と過ごすとやはり思い出の一日となった。六本木のミッドタウンでイルミネーションでも見ようかと思ったらいつにない程の人混み。ごみ。塵。極寒の中、しばらく待っていたが進む気配が全くない。結局イルミネーションの100m手前で挫折し、ヒルズへと向かった。
森ビルに入り、スカイラウンジまで温温とエレベーターで一気に上がる。「ふははは、まるで人がゴミの様だ!」と恒例のモノマネを披露し、気分上々のまま森美術館へ。私が以前から行きたいと思っていた「メタボリズムの未来都市展」を見るのが目的だ。

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隣りでは彼女がドン引きしている。「何も今日美術館に行かなくても・・・」といいたそうな彼女を尻目に、一人でツカツカと作品を見てまわる。
メタボリズムとは肥満のことではない。それはメタボリックシンドロームのことだ。では何か。それは1960年代にわが国で主張された建築理論のことである。「新陳代謝」を意味し、丹下健三に強い影響を受けた建築家たちが、機能などの外的要因の変化に伴って都市や建築も変化していかなくてはならないと訴え、この言葉が誕生した。日本の有名な建築家と言えば、黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦といったところか(あまり詳しくは知らないが)。実際メタボリズム運動の中心にいた人物たちである。
大きく4つのセクションに分かれており、それぞれメタボリズムの誕生、時代、空間から環境、グローバル化という流れになっていた。海上都市や、空中都市などの構想をもとに展示されてあった模型やスケッチは、まるでアトムやドラえもんの世界だった。きっと手塚治や、藤子F不二夫はこういった彼らの設計した未来都市の像に刺激を受けたのだろう。高度経済成長期に突入した日本で、彼ら建築家が見ていた無限の可能性に広がる景色に思いを馳せる。しかし、ミクロの視点で見てみると、すごく味気ない。巨大な集合住宅が並ぶ街は個性がなく、どこかつまらない。そんな巨大な建物の一つの部屋はまるで細胞のセルのようでそこに暮らす人々はミトコンドリアやゴルジ体のように見えた。すごく息苦しさを覚え、もっと自由な空間にいたいと思った。
空間から環境への転換ということでの日本万国博覧会後の取り組みには驚き、感心した。正直、大阪万博で使用したあの広大な土地は今一体どのようになっているのか、太陽の塔、エキスポタワーはどうなっているのか興味があった。万博後、環境NPOを中心に30年かけて植林活動を行い、今では緑豊かな森林公園へと姿を変えていた。太陽の塔は未だ健在だ。CEPA(セパ。Communication・Education・Publicity-Awareness)を合言葉に広報、教育、普及啓発を行ってきた当時のNPO団体の活動は素晴らしい。今ではCEPA JAPANという団体が組織されているようだ。今後は一層、建築に環境というテーマが大きく関わってくるだろう。自然とどのように共生していくか、またどう形成するか、その活動に注目したい。
メタボリズム展を見終わり、出口に向かう途中、若手アーティストであるツァン・キンワー氏の映像インスタレーション展がやっていた。朝日新聞でこの存在を知り、見に行きたいと思っていたがまさかメタボリズムとセットで見れるなんて(ちなみにこのインスタレーションは建築とは全く関係ない)。興奮する気持ちを抑え、早速部屋に入る。

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しばらくすると暗い部屋にぼうっと光の文字が浮かび上がる。それらは「殺戮」、「絶望」、「彼の死をおまえは望む」といった言葉でとても不快で、挑発的である。それらがおどろおどろしい音楽とともに浮かび上がり、次第にごちゃごちゃに文字が被さっていく様は、観ていて感情が、魂が揺さぶられる。恐怖かと思ったが、それだけではない。心が拒絶と同時に受容するという矛盾した感覚に陥ったのだ。次第に言葉が文字となって崩れるように欠けていく様は言葉の脆さ、果敢無さを感じた。
日本語と英語の2種類がループして流れるが、断然母国語の方がインパクトが大きかった。英語だとポップアートの印象が強かった。見れて本当に良かった。
全て終わってみると、彼女もどうやら満足してくれたようで結果オーライ。街はクリスマス一色。綺麗なイルミネーションも良いが、こういう時に美術作品に触れるのも乙なものではないか。別にクリスチャンじゃないんだし。クリスマスだからと下心見え見えで夜の街を徘徊する男女を見ながらそう思った。
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by komei115 | 2011-12-25 22:21 | Diary