日日是好日 その13 屋久島での思い出 6


それにしても歩いていて気持ちが良い。空気も湧きでる水もおいしい。山の恩恵を受け、私は改めて自然に生かされていると感じていた。
すると遠くの方の林でガサガサと動く音が。

何だろう、白いふさふさしたものがひょこひょこと動いている。
カメラを構え、レンズを覗きこむ。

動物だ。なんらかの尻だろうか。猿か?

あのつぶらな瞳は・・・鹿だ!
初めて野生の屋久鹿を見た。写真に収めようとパシャパシャと連写するもぶれてしまう。とうとう、鹿は行ってしまった。残念だ。
それにしても、本当に野生の動物と会えるんだ。動物園や人慣れした鹿では味わえない感動があった。もしかしたらさっき道端に落ちていた果物の食べかけも鹿だったのだろうか。
また会えないかなと期待し、さらに奥へと歩く。

途中でトイレを発見。しかもこのトイレ、バイオマストイレらしい。利用してみたが、便器の中がくるくると回り、中の排泄物をかき混ぜている。排泄物から電気エネルギーを生み出し、機械を回す。そしてそれが微生物のおかげで分解され、匂いも気にならない程度で、排泄物も土へと帰る。すごい循環作用だ。まさにエコトイレの頂点だ。北海道大学のチームがこの施設を建てたようだが、屋久島の環境保護に一役買っているなんて、なんてすばらしい大学と研究員たちであろうか。更なる環境に配慮した技術の促進に期待したい。


森の奥へと進んでいくにつれ、樹木の大きさが格段と大きくなってきていることに気づく。
これらの木々も余程樹齢が長いのだろう。今、世界中に生きているどの人間よりもこれらの木々の方が歳が上だと思うと、なんだか人間とはつくづくちっぽけな生き物だなと思ってしまう。縄文杉に会う前にすでに樹木の偉大さに気付かされた。



何千年、何万年、何億年という年月を重ねて奇跡的にできたこの森。この森だけじゃない。世界各国の緑溢れる自然。それをたかが数百年の歴史で、汚し、破壊する人間の業に醜さを感じる。自分に一体何ができるのだろうか。ない頭で必死に考えていた。
小難しい顔をして歩いていると、また森の鹿さんに出逢った。

また、尻との対面である。
しかし、今度はすぐ近くにいた。しばらく待って絶好のシャッターチャンスを窺う。



今度はバッチリいただいた。ありがとう、鹿さん。一応ブログにアップする事を告げ、別れた。
屋久島にはいろんな動物がいるが、屋久島ならではの動物といったら屋久鹿、屋久猿である。屋久鹿とは会えたので、猿にも会えたらという期待を胸にまた歩き出した。