青い果実の実る頃には

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読書から学ぶもの ~経済とお金儲けの真実~

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飯田康之/坂口孝則著 徳間書店 

これは成功本でも自己啓発本でもない。マクロな経済学の視点(飯田康之)と、ミクロな商売の視点(坂口孝則)を組み合わせた、今の日本社会を「普通」に生きる上で必要不可欠なことを思考するための本だ




「今こそ本当に必要な経済とビジネスの話を」。このスローガンをもとに、二人の人間が語り合う。一人はエコノミストで駒大教授。経済政策、マクロ経済学を専攻とした飯田義之氏。もう一人は、株式会社味るアソシエイツにて原価・コスト削減領域のコンサルティング、研修講師などを務める坂口孝則氏である。

述べられている内容
―章―
・これからの日本経済でいかに儲けるか
・ウソと誤解だらけの日本経済
・儲けられる人、ダマされる人の違い
・これからの「お金」の話をしよう
・日本に蔓延する「日本人論」のウソ
・生き残るために今僕たちは何をすべきなのか?


同じ「経済」という切り口であっても、マクロの視点とミクロの視点は大きく異なる。それは、「理論」と「実践」との違いに近いのかもしれない。
私たちの生活において、マクロの視点は新聞やニュース等マスメディアから流れてくるだけの世界であってどこか非現実的で遠く、日常と関係性を持たせることは難しい。統計で出された数値や様々なグラフを分析するには思考が求められ、敷居が高いように感じる。しかし一方で、努力しているにもかかわらず会社が信用できなかったり、仕事が上手くいかなかったり、生活が上手くいかなかったりと、日常生活で「不調」や「消化不良」を起こしている人たちは少なくないはずだ。
なぜか。それは、私たちがこれまで「お金」というモノについて多角的な観点から考えてこなかったからだ。
私たちの人生に「経済活動」という社会に直接的に結びつき、生きていくために必須の活動について勉強する機会がどれだけあっただろうか。少なくとも、少年時代からミクロの視点とマクロの視点を結びつけて本気で経済の流れを考えてこれた人はそうはいないだろう。それは、「経済学」を学ぶ機会に恵まれている大学生ですら怪しい。
それは日本の教育機関が、経済・金融というお金とその流動の仕組み、ビジネスについて教えてこなかったところが大きい。義務教育時代、わけもわからぬまま算数、理科、英語、国語、社会といった科目を習っていった人が大半だろう。それが本来何に役立つのかというビジョンの説明もなしに。ただ、中・高・大と「お受験戦争」に勝ち抜くため、そしてネームバリューの良い会社に入社するために必要だと勉強させられる。
それは、「お金を稼げる仕事に就いて楽をしてほしい」という親の切なる期待と、「この学校から何人がどこに進学、就職できたか」という学校の都合がそうさせたのだ。これは、今までの社会においてはあながち嘘ではなかった。実際に勉強して大学まで行けば、まだなんとかそれなりの職に就けるという現実が用意されていた。夢を叶えるため、漠然とした不確かな幸せを手に入れるツールとして勉強が存在した。
しかし、もうそういった根性論みたいな考えだけではやっていけない時代に突入したのではないだろうか。これからは「国が何とかしてくれる」「会社が何とかしてくれる」といった感覚から脱却し、金融等資産運用、つまりお金をどう遣り繰りするかという思考やお金の稼ぎ方、現実の生活設計といった泥臭くも自身の力で「生(ナマ)」をサバイブする思考や行動を学んでいく必要があろう。
そこで、メスを入れたのがこの本だ。「もう一度、生きる実感としての『お金』を見つめ直そうよ」と彼らは問いかける。「日本人とは」「~論」といういろんなウソが蔓延る中、真実だけを掬い取った二人の話は目から鱗な部分が多い。改めて気づかされる経済の大切さ、特に一見関係のないマクロ経済を日常に取り入れていくことが一つの生きやすさ、チャンスの掴みやすさの指標であることを知った。
一読の価値はある。


―追記―

しかしながら、そもそもの「金儲け」という言葉自体、どこか道徳的に悪いように聞こえてしまう(この本にもこのことについて詳しく書かれている)。私もこの本を手に取ったとき、「何か良からぬことが書かれているんじゃないか」、それ以上に「この本を広げて読んでる自分を他人に見せたくないな」という羞恥心があった。
日本人に「金儲け=悪」という感覚があるのは確かだ。ホリエモンしかり、会社トップの不祥事しかり。確かに、刑事性のある犯罪は相当に罰せられて当然だが、人々(特にマスコミ)はそれ以上に彼らを叩く。「金があるやつはきっと悪さをしてる」と、出る杭は打つ姿勢が社会に見受けられる。それなのに、税金対策のために必死に遣り繰りする連中は別に叩かれない。それっておかしくないか。
お金儲けに美しさや品性はない。だが、現代を生き抜くために必要な手段だ。「儲けて何が悪い。その分税金納めてやるぞ」くらいの感覚で「汚さ」を含んだ経済や金融、ビジネスを教えないで何が教育だと私は問いたい。
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by komei115 | 2012-05-01 22:55 | Reading&Music