青い果実の実る頃には

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読書から学ぶもの ~続・悩む力~

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姜尚中著 2012年6月20日発行 集英社

漱石、ジェイムス、ウェーバー、フランクルの共通性に触れ、今から100年前にすでに始まっていた「世界の終わりの始まり」をひも解き、今と対比させていく。悩む力。それは生きるための潤滑油だ



姜尚中氏が今から5年前に出した書籍『悩む力』の続編となるものである。悩んで悩んで、悩め続けた末に突き抜けることができるという悩むことを肯定し「力」に変える前作に続き、そこから今日の「愛」や「金」、「家族」、「自我の突出」、「絶望感」などの問題に触れ、「人間とは何なのか」、「幸せや希望はどこにあるのか」という根源的な問いへと突き進んでいく。

私が前作である『悩む力』と出会ったのは大学2年の春だった。当時19歳の私は読書・音楽・映画等に興味を持たず、政治や社会にも関心を持たず、勉学にも身が入らない学生生活をただダラダラと過ごしていた。「これで良いのか?」という漠然とした不安を抱えて、その問いに挑みもせずに隅に追いやり、「きっとどうにかなる」という楽天的な考えを持ってして「悩むことは愚かなこと」と自分に嘘をつき続けていた。しかし、どんどんと膨らみ続ける悩み。漠然とした続く日常の「辛さ」と「恐さ」。だからこそ書店でたまたま目に入り、読みもしなかった新書を買ったのは今考えると本当に巡り合わせであり、幸運だったと思う。
その本は私の愛読書となり、著者である姜尚中氏は私の敬愛する憧れの人となった。全ての著書を読み、今でも時々読み返しては勇気をもらっている。「悩んでいいんだ」と背中を押され、物事を見つめ、思慮する楽しみに触れた。私の中の「豊かさ」「恰好良い生き方」のベクトルが大きく変えられた。この本が今の私の核となる部分を形成してくれたと言っていい。

さて、それに引き続いた二作目は、一作目の流れからか一気に読み終えることができた。東日本大震災の後、私の中で生きづらさと人間(国)不信はピークに達している。そして、未だに政府、大手企業、メディアには不快感を隠せない。怒りで言葉が荒々しくなり、世界に絶望しかける中、この本は私を優しく包みこんでくれた。読み終えた時、何とも言えないような高揚感に包まれた。どうして氏は、これほどまでに私の心の中のもやもやとした部分を的確に掬い取ってくれるのだろう。それを言葉で表現し、代弁してくれるのだろう。
信じる宗教がない代わりに日本人が絶対的信仰を持つ「科学」。必死に自分探し、本物探しをする若者とそれを煽り、ビジネスとして私腹を肥やす企業・メディア。暴走し続ける貨幣と情報のネットワーク。
この非常事態の今を生きる私たち誰しもが、『門(夏目漱石著)』の前に立ちすくんでいる「宗助」なのだ。頼る者がなく、孤独で、門の中(宗教等絶対的に信頼できるもの)に入ってしまいたいのに、それができない深い苦しみの中でもがき、生きている。
畏れることなくどこまでも突き進み続ける世界で、どのように自身を保って生きていくか。どうすれば、したたかに、逞しく生きていけるのか。
その一筋の希望をこの本は示してくれている。2作目もまた、私の愛読書となりそうだ。
まさに、現代の人間、特に若い人に必要な良著、名作であると言ってよい。是非読んでもらい、氏の希望の提示に思考を深めてもらいたい。
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by komei115 | 2012-08-07 20:05 | Reading&Music